もはや実現は絶望的―。誰もがそう思っていた「大阪都構想」が息を吹き返した。

この構想は橋下徹大阪市長&維新の党にとっての最重要公約。しかし、公明党などがガンコに反対し、大阪府議会、市議会で過半数を持たない維新は法案を通過させることができずにいた。

ところが1月13日、都構想の制度設計を議論する大阪府・市の法定協議会で突然、公明党が賛成を表明。5月17日にその是非を問う住民投票が行なわれることがほぼ確実になったのだ。この投票で、有効投票総数のうち過半数以上の市民が賛成すれば、橋下市長の悲願は実現することになる。

しかし、公明党はなぜ賛成に転じたのか? 全国紙の大阪市政担当記者が語る。

「党本部から『賛成しろ』と、ツルのひと声があったようなんです。背景には維新と公明の間に密約があったと噂されています」

密約って?

「昨年12月の衆院選で、維新は大阪3区に橋下市長、16区に松井一郎府知事が出馬する構えを見せていました。ところが、最終的にふたりは立候補を取りやめた。それどころか、大阪、兵庫で公明候補が出馬する6つの小選挙区すべてで候補擁立を見送ってしまった。その結果、公明候補は楽勝で全員当選したのです。実に怪しいですよね」(大阪市政担当記者)

維新は候補擁立をやめて公明党を勝たせる。公明党はその見返りとして都構想に賛成するというわけか?

ちなみに、公明党大阪府議団の清水義人幹事長は、賛成に転じた理由として「都構想には断固反対。しかし、議論の収束を目指し、住民投票で決着をつける決断をした」と語っている。なんとも苦しい説明だ。

大阪のおばちゃんらも微妙な反応

都構想の議論にケリをつけたければ、これまでどおりに反対を貫けばよいだけのこと。それで都構想は葬られる。いちいち住民投票などにかける必要はないのだ。密約説が流れるのも無理はない。

とはいえ、今後、住民投票が行なわれるのはほぼ確実。大阪市民はどのような判断を下すのか?

そこで、大阪市北区の天神橋筋商店街を歩いていたおばちゃん50人にアンケートを実施してみた。

まず、住民投票に「行く」と答えた人は38人、「行かない」が9人、「わからない」が3人。

そこで、「行く」と答えた38人に賛否を聞いてみた。すると、「賛成」が16人、「反対」が6人、「未定」が16人という結果に。つまり、現状では都構想に賛成なのが42%。過半数までにはまだ9%足りない。投票に行くと答えた38人で考えると、態度未定16人のうち、4人を賛成派にしないといけない計算だ。

実にビミョーな数字だが、果たして橋下・維新に秘策はあるのか?

「これまでの橋下市長の政治手法を見るなら、賛否が真っぷたつに割れるような大きな話題をわざとブチ上げるのでは。そして、住民投票になだれ込むという作戦です。住民投票は投票者の49%に反対されても、51%が賛成すれば勝てるわけですから」(前出・大阪市政担当記者)

橋下市長はあざとい“爆弾”を本当に投げつけてくるのか? そして、大阪市民の判断は? 5月17日の住民投票から目が離せない。

(取材/ボールルーム)