ついにイスラム国による邦人人質事件は悲劇となり、未だ解決の道が見えない。そして世界にテロの戦慄と身近な恐怖がつきつけられる中、日本も標的となり得る可能性が議論されている。

その時、まず最もターゲットとして危惧されるのは原発である。テロの脅威を世界中に知らしめ、かつ経済的な打撃を与えるのにこれほどうってつけな目標はないからだ。

もし本当に狙われるとすれば、どのような方法だろうか? フランス在住の元外人部隊兵士が語る。

「日本を攻撃する場合は、わざわざ海外からカラシニコフ小銃を密輸して銃撃事件を起こすより、日本国内で手に入る材料で爆弾を作り、爆破するテロが多くなると思います」

日本の場合、原発入り口の警備は民間企業の特殊警棒を持ったガードマンが警備している。しかし、日本人コントラクター(傭兵)のA氏は「この程度の警備なら、軍用小銃を持ったテロリストがトラックで突入してくれば、難なく突破できます」と警鐘を鳴らす。

さらに、原発敷地内にいる日本の警察官による警備隊の軽装備では、重火器で武装したテロリストの攻撃は防げないという。

「すでに日本には、北朝鮮またはフィリピン経由で重火器が入っています。それを使いこなすプロのテロリストが入国できれば、簡単に原発は占拠され、メルトダウンさせられてしまいます」(前出・A氏)

福島原発事故のような事態が日本各地の原発で、今度はテロリストによって起こされる危険性が出てきたのだ。

日本の警察の装備では制圧は無理!

また、もしもこの重火器を持ったテロリストが、渋谷や新宿などの繁華街で無差別銃撃を開始すれば、それを止める手立ては難しい。

「米国では、パトロールライフルと呼ばれる軍用小銃がパトカーのトランクに搭載され、もしテロリストの無差別銃撃が始まれば、現場に駆けつけた警官がこのパトロールライフルで制圧を開始できます。

しかし日本の場合、パトカーが到着しても、回転式拳銃だけしかないので制圧は無理。警察特殊部隊のSATが到着するまでに多数の市民が犠牲になります。日本の警官は今後、自衛隊の89式小銃をパトカーのトランクに装備すべきです」(日本人コントラクターA氏)

1997年、エジプトの王家の谷近くで、イスラム原理主義過激派グループが観光客を撃ちまくったテロが発生。日本人を含む63名が射殺され、85名が負傷した。この後、観光立国のエジプトは深刻な経済的影響を受けた。

観光立国において、観光地の外国人がテロの標的になる可能性は高いが、同様のアピールを日本の大都市でなされる効果は絶大だ…。

一方、イスラム国の身代金要求テロにならって、海外の邦人を狙ったテロも起こり得る。

「世界中に点在するアルカイダが、イスラム国に対抗するように日本人を誘拐しまくり、身代金を要求するテロが急増する可能性もあります」(前出・A氏)

安易な軍備拡大は確かに危険だが、テロの脅威を前に、日本人の安全を守る方法も至急検討されねばならない。そのジレンマの中で、日本の選択に国民だけでなく世界中が注視している。

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(取材/小峯隆生)

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