国内航空3位のスカイマークが経営破綻したのは1月28日のことだが、このニュースにビビりまくっているところがあるという。

神戸空港を所有し、運営する神戸市だ。神戸空港の一日の発着枠は全30往復便。そのうち7割(21往復便)がスカイマークの路線だからだ。

空港経営に詳しい関西学院大学経済学部の野村宗訓教授が語る。

「スカイマークの破綻は、神戸空港にとっては致命傷になりかねない事態。今後の再建策次第では最悪、スカイマークの完全撤退もあり得ない話ではないのですから。そうなれば、廃港に追い込まれてもおかしくありません」

もともと神戸空港の経営は思わしくない。2006年に開港し、ピーク時の07年度には約297万人が利用したものの、13年には約235万人に落ち込んでしまった。累積赤字も14年度末までに21億円に達する見込みだ。

そんな経営状態なのに、頼みの綱のスカイマークが破綻したのだから、たまらない。

神戸市は「当面の減便は一日3往復便のみ。4月からは21便に戻るとスカイマーク側から聞いています。心配はしていません」(神戸市空港事業室の担当者)と言うが、内心はビクビクものらしい。

地元紙の記者が語る。

「2月2日に緊急会見を開き、15年度予算案に神戸空港の運営権売却のための調査費として2億円を盛り込むと公表したのが何よりの証拠。危機感は相当なもの」

運営権売却を通じて、神戸市が描くピンチ脱出のシナリオはこうだ。

神戸空港の位置づけはあくまで関西国際空港を補完するための空港。そのため、(1)一日の発着は30往復便、(2)国内便に限る、(3)運用は7時から22時まで、といった規制が設けられていた。

地元紙記者が続ける。

廃港は避けられない? 打開策は…

「これらの規制のせいで、神戸空港は24時間運営可能な海上空港なのに、増便して利益を上げることができず、神戸市は不満を強めていました。実は今、関西国際空港と伊丹(いたみ)空港の運営権が売りに出され、6月には新しい運営会社が決まる予定です。

そこで、神戸市はその新運営会社に神戸空港の運営権も買ってほしいとアピールする作戦に出たんです。関西国際、伊丹と同経営になれば、それらの規制に縛られる理由もなくなる。そうなれば、スカイマークに頼らなくても神戸空港は存続できると踏んでいるのです」

だが、このシナリオには疑問の声が…。前出の野村教授が指摘する。

「関西国際、伊丹の両空港の赤字は1兆3000億円の巨額。45年の長期返済の場合、新運営会社は利子も含め2兆2000億円を返済しないといけない。それだけでも大変なのに、新運営会社がさらに赤字経営の神戸空港までもすんなり買ってくれるとはとても思えません」

ということは、神戸空港の廃港はもはや避けられない?

「いいえ。便数や発着時間に関する規制の撤廃を思い切って国土交通省に申し入れるとか、ほかの地方空港と提携して路線を新設するとか、チャーター便に力を入れるとか、できることはたくさんある。神戸市はもっと自分から動くべきでしょう」(野村教授)

果たして、神戸空港はスカイマーク頼りの経営から脱却し、存続できるのか?

(取材/ボールルーム)