わずか0.8%の差で反対が上回った「大阪都構想」の住民投票。自民・共産による異例の共闘、教育委員会や人口が多い高齢者層が反対に回った…など様々な要素が“敗因”として挙げられている。
しかし、維新側の戦い方にも大きな問題があった。ある維新の大阪府議が嘆く。
「維新の大阪市議の中には、まじめに住民投票運動をやっていなかった連中が多かった。理由は簡単だよ。都構想が実現すると大阪市がなくなるわけで、市議会議員は職を失うことになるからね。
もちろん最初はそのまま区議会議員にスライドできるんだけど、議員報酬は市議に比べて3割もカットされることになっていた。
さらに、選挙区割りも変わることになっていた。大阪市は5つの特別行政区に分割されて、今までの大阪市議選の時よりもそれぞれの選挙区が大幅に広くなる。そうなれば当然、議員にとっては選挙戦が過酷になる。
各議員は未開拓エリアで新規の支持者を獲得する必要があるから、選挙対策スタッフを増員したいところだけど議員報酬は減るんだからキツイ! 自己保身を考えれば、維新の議員が内心で反対派に回っていたことはなんら不思議なことではないよね」
気持ちはわからないでもないが、橋下氏は維新の結党時から看板政策として都構想を掲げていた。現職の市議たちはその政策に賛同して維新に入り、橋下人気のおかげで当選できたのだ。なのに、それが事実ならしょーもない連中と言わざるを得ない。
0.8%の差で勝敗が決したのだから、もう少し熱心に市議たちが頑張れば結果が変わったかも? 当然、橋下徹大阪市長の引退もなかった。
つまり、都構想に消極的だった維新の市議たちは、自分で自分の首を絞めることになったのではないか? なぜなら彼らは次の選挙で“橋下徹の看板”なしで戦うハメになるのだから…。
(取材・文/菅沼 慶)