国会議員の育休制度…今こそ真剣に議論すべき課題では?

宮崎謙介衆院議のスキャンダルによって、ケチがついてしまった国会議員の育休制度。

タブーを破って一石を投じようとしたこの行動に、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、実現の可能性を示唆する。

***“育休不倫”の宮崎謙介衆院議員が辞職した。

育休と聞いて思い出すことがある。私が経産省の官僚だった2004年頃、3人目の子供が生まれたのをきっかけに1年間の育休を取り、話題になった同僚がいた。山田正人商務流通グループ参事官室課長補佐(当時)だ。

育児・介護休業法などによって、公務員や会社員には育休を取る権利が保障されている。

ただ、男性の育休取得率は2.3%という数字が示すように、その権利行使は難しい。申請すれば、周りから「変なヤツ」と色眼鏡で見られる。山田課長補佐も当時、「あいつはもう出世は無理」と、省内で陰口を叩かれたものだ。ただ、官僚に復帰した後の彼は、核燃料サイクルの問題を告発したり、新聞の訪問販売への規制強化を主導して、読売新聞と戦うなど、タブーを破って一石を投じ、世の中を変えようと頑張っている。

宮崎前議員の行動にも、そういう期待をした人も多かったのではないか。議員が率先して育休を国会に申請し、実現すれば、男性が育休を取ることに対する社会的抵抗感を和らげるきっかけにもなり得た。

なのに、この不始末。国会議員の育休取得に関して議論の素地をつくるどころか、無用なマイナスイメージをつくっただけになってしまった。

あまり知られていないが、そもそも国会には育休制度は存在しない。国会議員は企業に雇用される者でなく、国会で意思表明する“自営業者”と考えられているためだ。

超優遇の“国会議員の育休制度”。国民が納得するには…

ただ、議員が子育てに専念することは悪いことではない。そうした体験があれば、子育て世代のニーズを理解し、最適な政策を打ち出せる。ノルウェー、デンマークなどが国会議員にも育休を認めているように、日本でも同じ制度を設けてもいいのではないか、と私は思う。

とはいえ、国会議員の待遇は歳費だけでも年額2千万円以上で、一般の労働者より明らかに恵まれており、「そんなに収入があれば、ベビーシッターを雇え」との声が上がってもおかしくない。制度設計にあたっては、政治家厚遇にならないよう、国民への配慮が必要となる。

まずは議員歳費などの減額が必要だろう。歳費は税金で賄(まかな)われている。育児で国会活動を休業しても、歳費が全額支給されるというのでは国民は納得しない。なので、育休期間は無給、あるいは国民の平均的な給与水準(年額400万から500万円)の3分の2程度(民間の育休給付金相当)に抑えるべきだ。休業期間も3ヵ月から半年程度とすることも考えたらどうか。

また、「代理議員制度」も検討課題だ。育休で議員が国会を欠席すれば、選挙区の有権者の声を国会に反映できない。それを防ぐために、別の政治家が代理できるようにする。実際、先述の北欧では、議員が育休を取った場合、選挙で次点になった候補が代理議員を務める仕組みが導入されている国もある。

宮崎前議員のせいで、国会議員の育休制度設立にはミソがついてしまった。しかし、今こそ真剣に議論すべき課題ではないだろうか。

古賀茂明(こが・しげあき)1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)

(撮影/山形健司)