レームダック化がささやかれる朴槿恵大統領の次なる狙いは憲法改正?

韓国の総選挙(定数300・任期4年)が行なわれたのは4月13日のこと。

朴槿恵(パク・クネ)大統領を支える与党セヌリ党が苦戦し、過半数を大きく割り込む惨敗。16年ぶりに野党の議席数が与党を上回ることとなった。韓国紙の東京特派員が解説する。

「選挙前の下馬評は与党セヌリ党の優勢。過半数を上回る170議席前後を占めると予測されていました。それがKBSテレビの出口調査結果でも、121から143議席と伝えられる体たらく。しかも朴大統領の任期は残り1年10ヵ月ほど。“選挙の女王”ともてはやされてきた朴大統領ですが、さすがに総選挙後のレームダック化(任期終了間際に政治的影響力を失うこと)は避けられない」

そんな朴大統領が劣勢をはね返そうと、ひそかに練っている起死回生のプランがあるという。特派員が続ける。

「韓国大統領の任期は1期5年ですが、朴大統領は憲法を改正して、2期8年までの重任制に変えようと狙っているのです」

ん? 憲法改正して大統領の任期を2期8年までの重任制にしたとしても、その変更が適用されるのは次の新大統領から。朴大統領の任期が延長されるわけでもない。なのに、どうして憲法改正が復活の第一歩となるのか…。

「敗北といっても、セヌリ党が国会の第1党であることは変わりない。そこで憲法改正を仕掛けて主導権を握り、腹心を2017年末の大統領選に出馬させ、次期大統領に据える。その上で朴大統領自身は首相に収まり、2022年末の大統領選に再び出馬。そこから2期8年の長期政権を築こうというシナリオなのです」(特派員)

このトンデモ復活プランに、韓国の政治部記者らは皮肉を込めて、ある呼称をつけているんだとか。

朴槿恵は本気でプーチン化を仕掛けてくる!?

「ロシアのプーチンも2008年に大統領を退任後、腹心のメドベージェフを後継大統領に指名して首相となっています。その後、2012年の大統領選で再び大統領に返り咲くことに。その際、憲法を改正して、大統領任期を2期4年から2期6年へと延長しています。

朴大統領はそのプーチンのやり口を意識しているのでしょう。とても正気のプランとは思えませんが、ふたりが同じ1952年生まれということもあって、記者たちはこの復活シナリオを『朴槿恵のプーチン化計画』と呼んでバカにしているんです」(韓国紙・政治部記者)

だが、前出の特派員は朴大統領の本気度は高いと言う。

「あまりにとっぴなプランなので半信半疑の人も多いのでしょうが、当の朴大統領は大まじめですよ。なぜなら、韓国の歴代大統領の多くは悲惨な末路を迎えているんです。朴槿恵大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)は暗殺、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)は死刑判決を受けて収監、盧武鉉(ノ・ムヒョン)は自殺に追い込まれています。

それだけに今、朴槿恵大統領は政界引退後、自分がどうなるか不安で仕方がないはず。悲惨な末路をたどらないためにも、本気で自身のプーチン化を仕掛けてくるかもしれません」

2018年春、朴槿恵大統領は肩書を首相に変え、政界サバイバルを果たしているのだろうか? 注目だ。

(取材・文/本誌ニュース班)