サイン会でのムヒカ氏。子供の前ではひときわ温かい目をしていた。会場に駆けつけた日本のファンたちは氏の愛称である“ぺぺ”という言葉を大合唱

前ウルグアイ東方共和国大統領ホセ・ムヒカ(80歳)が4月5日に初来日し、東京、京都、大阪、広島を訪問した。

彼の人気は、昨年放映された報道番組『Mr.サンデー』がきっかけ。質素な農業生活を送る人生哲学が話題を呼び、前年に出版されていた絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(汐文社)は放映後に16万部超のベストセラーとなった。

清貧で有名なムヒカ氏だが、昨年まで一国の最高指導者だった。なんだかんだ、豪華旅行だったのでは?

そこで今回のムヒカ氏の旅程のコーディネーターを務めた男性を直撃した。

「彼は“最低限の生活”を大事にしています。でも京都はオークラ、広島はシェラトンと五つ星ホテルしか空きがなかった。部屋に入ると『豪華すぎる』とお怒りになったので『五つ星の部屋しかなく申し訳ない』と謝りました(笑)」

そんなムヒカ氏が喜んだ日本食は、大阪の串カツだったとか。

1週間の滞在中に対談やサイン会など多くのイベントに出演したが、ギャラは一切請求せず、土産(みやげ)もはがき一枚買わずに帰国。噂どおりの“持たざる人”だったのだ。

左は同国の上院議員でもあるルシア・トポランスキー夫人。夫婦共に活動家から政治家となり、国民生活支援政策を進めた

(取材・文/赤谷まりえ 取材協力/福永ダニエル新一郎)