衆参W選挙は断念するも熊本大地震すら選挙利用しようとする目論見が見え隠れする安倍政権の思惑とは…

7月の参議院選挙を間近に控え、「政局」をめぐる動きが活発化している。しかし、その割に今ひとつハッキリとしないのが選挙の「争点」だ。

約1年半ぶりの国政選挙となる参院選では、どう考えても争点がテンコ盛りなはず…。ところが、どのテーマも焦点がボンヤリとしていて定まらない。1月から国会の審議も続いているというのに、一向に議論が盛り上がらないように見えるのはなぜなのか?

実は、この「争点のステルス化」にこそ、安倍政権の狙いがある。憲法改正をめぐる状況を例に説明しよう。

「改憲の具体的な議論を避けながら、選挙に臨もうとする安倍政権のやり方は卑怯!」と、怒りを露(あら)わにするのは、日本を代表する憲法学者で慶應義塾大学名誉教授の小林節氏だ。

「今の通常国会で安倍首相は憲法改正への強い意欲を示し、憲法改正の発議が可能な両院の3分の2以上の議席獲得を目指すと発言しました。また、自民党はすでに独自の改憲草案を示し、『緊急事態条項』を優先的に進めるとまで言っています。

ところが国会で、野党議員が具体的な改憲内容に突っ込むと、『憲法改正の発議は国会の権限ですから、それは国会の憲法審査会でご議論ください』と安倍首相は逃げた。なぜなら、具体的な議論になると、あの改憲草案に表れている『戦前回帰』的な自民党のアナクロニズムが露わになり、強い批判を受けることが明らかだからです。

そうやって改憲に関するまともな議論を避け、選挙にさえ勝てば『国民の信任を得た』と言って数の力で押し切ろうとするいつものやり方は、政治家以前に人間として卑怯です。

しかも政府は熊本の地震に乗じて、緊急事態条項の必要性だけはアピールしている。震災を利用して冷静な議論を省略しようとするやり方も許せません」(小林氏)

この他にも、「安保法制の是非」や巨額の損失が懸念される「GPIF問題」、さらに「TPP問題」「沖縄・辺野古の米軍基地問題」など、枚挙にいとまがない。しかし、どれもこれも具体的な議論に発展せず、安倍政権は追求をのらりくらりとかわし続けるばかりだ。

本当にこのまま、参院選に突入していいのだろうか?

発売中の『週刊プレイボーイ』19・20号では、そんな安倍政権の「争点ステルス化」について徹底追求。議論を避けて争点を隠す具体的なやり口について個々の案件を解説しているのでお読みいただきたい。

(取材・文/川喜田 研)

■週刊プレイボーイ19・20合併号(4月25日発売)「安倍自民 選挙争点ステルス化が進行中!!」より