『週刊プレイボーイ』本誌で「天空のブランコ 田村淳の脳内両極論」を連載中のロンドンブーツ1号2号・田村淳氏

家族旅行を政治資金に計上した疑惑、さらには飛行機のファーストクラスを使用した海外出張の是非などをめぐり、炎上中の舛添要一都知事の釈明には多くの人が納得していないだろう。

『週刊プレイボーイ』本誌「天空のブランコ 田村淳の脳内両極論」を連載中のロンドンブーツ1号2号田村淳氏も、そのひとりだ。

淳氏はこの件について、「どうにも納得がいかない。このところの舛添都知事の行動や発言には気分が悪くなってしまう」と疑問を呈する。確かにルールの範囲内ではあるのかもしれないが、釈明会見の言葉に説得力を感じることができないというワケだ。

一方で、容認できるとする考察についても言及。時事問題について、あえて「アリ」「ナシ」の両極端な立場で思考実験をする同連載から、淳氏が考えた「舛添都知事の言い分には納得できない」という立場からの極論をここでは紹介しよう。

***舛添さんは結局、トップの自覚がない。その自覚があったら、湯河原になんか行けるわけがない。

だって、東京は世界でも屈指のお金や情報が秒単位で激しく動いている都市でしょ。それこそテロを含め、数分後に何が起きるかわからない怖さを抱えている大都市なのだ。それなのに、トップが公用車を動く知事室だとうそぶき、あっちゃこっちゃに動いているというのは、都民からすれば安心がおけない。

例えば、災害が起きた時に動く知事室がきちんと機能するかといえば、すんげえ疑わしい。

特撮映画のように地震直後に公用車から羽が出てさっそうとジェット噴射で空を飛び回れるのならともかく、通信網すらまともに機能しないはず。そんな有事の際に、舛添さんはどのようにして職員たちと連絡を取り合い指示を出すのだろうか。それとも、公用車を回れ右して、とっととひとりだけ逃げ出すつもりなのか。

そう考えると、やっぱり常日頃から耐震性に優れた都庁の執務室にこもって、万全の体制を整えておけよって注文をつけたくもなる。

僕らのために死ぬ気で働いてナンボの存在

ついでに、高額出張費の件についても注文をつけておこう。

お付きの人をいっぱい連れていったんだよね。だったら、視察地で何を得たか、何を思い考えたのか、それをどう都政に生かそうとしているのかを全員、文章にして都庁のHPにアップしてほしい。都民の税金をたくさん使って視察に行っているんだから、当然でしょ、それぐらいのことをするのは。小学生でも遠足に行ったら感想文を書くぞ。

それはそうと、釈明会見の時に自らを「トップリーダー」と称した舛添さん。もちろん「政治家はトップリーダーなんですよ」という発言には同意できる部分もある。けれども、都知事も国会議員もトップリーダーである前に、僕らの“公僕”であることを忘れてはいけない。

あなた方は僕らのために死ぬ気で働いてナンボの存在。その崇高な意識があれば、高額海外出張も週末の公用車利用もあり得ないわけで、彼が釈明した言い分の数々は詭弁(きべん)でしかなく、何ひとつ納得できない。***

発売中の『週刊プレイボーイ』22号では、これと正反対の「納得できる」という立場で考えた淳氏の極論も紹介。あえて舛添都知事の言い分を支持するとしたら…という思考実験の結果は? 全文は本誌にてお読みいただきたい。

(撮影/本田雄士)