少数派と言われようと、はっきりと意思表示をするのが国民投票

先月23日にイギリスで実施されたEU離脱の是非を問う国民投票は、イギリス独立党のファラージ党首らが中心の離脱派が残留派をわずかに上回る結果となったが、その後、離脱派を牽引した主な政治家が公約を反故にするなど混乱を極めており、国民からは投票を後悔する声も多数上がっている。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に独自の視点で斬り込む!

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「まさか本当に離脱することになるなんて思わなかったわ。できれば投票をやり直したい」。

イギリスのEU離脱決定後の街頭インタビューでそう答えた女性がいました。彼女は離脱に票を投じたのに、本当に離脱派が多数となるとは思っていなかったようです。

日本では参院選が始まった途端、新聞各紙は改憲勢力が多数を占める勢いだという世論調査の結果を1面で報じました。メディアにとって選挙はお祭りです。より速く、より正確に情勢を読み解いて、勝ち負けを報じるのが使命だと思っています。

でもそれがあまりに過ぎると、選挙というレースの予想にばかり焦点が当たりがち。それは果たして、有権者にとって一番大事な情報でしょうか?

選挙や国民投票って、自分を勝たせるためのものだと思います。自分の怒りとか希望を国政の場に届かせるために、レースの出場者を選ぶのが選挙。たとえどれほど少数派と言われようと、はっきりと意思表示をするのが国民投票。

メディアの勝敗予想に踊らされて、ゲーム感覚で投票をすると、思いがけない結果に愕然(がくぜん)とすることになるのかもね。

小島慶子Kojima Keikoタレント、エッセイスト。局アナ時代には、選挙のたびに候補者の事務所からの中継に駆り出された。NHKの当落速報が出る前に落選確実の中継をせよと指示があり、後援会の白眼視の中でリポートしたことも