「都知事選で注目を浴びるのは自民党ばかり。野党陣営はすっかりカヤの外です」
こうボヤくのは民進都連の関係者だ。
無理もない。14日の告示を前に、都民の関心は都知事選候補選びをめぐる与党・自民内のドタバタに注がれている。
その中心にいるのは7月6日夕、正式出馬を表明した小池百合子元防衛大臣だ。全国紙政治部記者が言う。
「6日夕の会見で、小池さんは『パラシュートなしの立候補』と、自民党の推薦を受けないまま出馬することを表明しました。自民都連が増田寛也元総務相の擁立にこだわり、小池さんを冷遇していることに反発した形です。
しかも小池さんは『当選したら、冒頭で都議会を解散したい』と挑発。そのため、都知事選は自民分裂選挙となるのか、そして小池vs自民都連の内ゲバはどう決着するのか、都民の関心が集中しているのです」
本当なら、野党陣営もここで知名度の高い候補を担ぎ出し、有権者の関心を集めたいところ。しかし、野党第一党の民進の候補選びがどうにも冴(さ)えないのだ。
「候補選びは都連会長の松原仁(じん)衆院議員を中心に進められていますが、うまくいっていません。強力な『隠し玉』として、最も力を入れて出馬を口説いていた俳優の渡辺謙氏にも7月4日夜、正式に断られてしまった。ビートたけしの兄で明治大元教授の北野大(まさる)氏にも声をかけたものの、こちらからも色よい返事をもらえなかったようです」(前出・民進都連関係者)
小池氏に勝てる候補はあの人だけ?
結局、民進は長島昭久元防衛副大臣を軸に候補者選びを進め、参院選後に決定すると発表するのが精いっぱい。小池vs自民都連のような、派手なサプライズを演出することはできなかった。
この体たらくに、前出の民進都連関係者がこう肩を落とす。
「人気、知名度、注目度、いずれも小池さんのほうが長島さんより上です。しかも長島さんは安保観などガチガチのタカ派。なので共産や社民は担げないから、参院一人区のような野党共闘も望めない。長島さんが出馬しても、小池さんら、強力な自民候補にはとても勝てないでしょう」
ところが、そんな劣勢を挽回(ばんかい)すべく、民進党内でひとつの仰天シナリオが待望されているという。民進党議員秘書がささやく。
「小池氏に勝てる候補は蓮舫(れんほう)代表代行だけ。そのため、彼女を都知事候補に擁立すべきとの待望論がいまだにくすぶっているんです」
果たして都知事選公示日直前の蓮舫出馬という「究極の後出しジャンケン」は、本当に発動されることになるのだろうか?
(取材・文/本誌ニュース班)