東京五輪、教育無償化、財政の見直し……古賀茂明氏が新都知事に期待する政策を提言!

31日の投開票に向け、21人の候補者が論戦を繰り広げる東京都知事選。

今度こそ、長期で都政を任せられる人を選びたいものだが、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、新知事に実行してほしい「5つの政策」を提言する。

* * *

参院選が終わり、次は都知事選(7月31日投開票)だ。そこで、新都知事に実行してほしい政策をリストアップしてみよう。

まずは東京五輪関連。新都知事は招致を巡る不正裏金疑惑の解明に着手してほしい。

そのためには都議会に百条委員会を設置し、都自らが調査に乗り出す必要がある。電通などの関係者も呼んで、徹底的に追及する。そして不正が明らかになったら、そのまま開催するのか、招致返上するのかを都民投票で決めるべきだ。

東京五輪はスタジアム問題などで当初の予算を大幅に上回ることが確実だ。都が積み立てた約4千億円の基金では足りず、都民は新たな負担を求められることになる。新都知事はこのまま五輪を開催してよいか、都民にその意思を聞くべきだ。ゴタゴタ続きの五輪組織委員会は一度解散し、都民の代表が参加できる新しい委員会として再発足させる。もちろん、森喜朗会長には辞任してもらう。

そして次は教育問題。今後、人口減が予想される東京都を活力ある都市として復活させることも新都知事の重要な仕事だ。それには若年層人口を増やすだけでなく、若い人たちの所得を向上させないといけない。そして、稼げる力を身につけるには何よりも教育が重要。新都知事は2歳から高校卒業までの育児・教育無償化を実現してもらいたい。

3つ目は財政の見直し。五輪特需で人件費や建設資材が値上がりするなど、公共事業の単価が高騰している。建設費が高いときに公共事業を発注することはない。災害対策を除き公共事業は手控えて都の財政を節約し、本当に必要な公共事業は工事単価が安くなる五輪終了後に行なうべきだ。これなら五輪特需後の景気の冷え込み対策にもなる。

高額な議員報酬はカットすべき

4つ目は都議会改革。政治資金の疑惑があるのは舛添前知事だけではない。精査すれば、都議にも私的流用のケースが続々と発覚するはず。都議には1500万円以上の議員報酬と年間720万円の政務活動費も支給されている。まずはこの費用の使途を「飲食費以外」に限定し、1円単位で領収書と使途をネット公開するなどの改革に着手する。高額な報酬も半額ほどにカットするべきだろう。

舛添疑惑追及中の議会が早々と閉会になったのを見て驚いた都民も多いはず。現在は年4回開催の都議会を通年開催に改めるべきだ。さらに、開催日を平日昼間から土日と平日夜間とし、昼間に会社勤めをしている都民の議員活動を可能にする。多様な人材が都議会で活躍すれば、都政の活性化は間違いない。

最後に、厳しい排ガス規制を断行すべきだ。カリフォルニアと同等かそれ以上の厳しい基準を採用し、電気自動車や燃料電池車に購入補助金を出す。専用レーンも設けてラッシュ時に優先走行を認める。現在、この分野で日本は米テスラ社や中国メーカーに後れを取っている。しかし、自動車メーカーがエコカー開発に注力せざるをえなくなる環境に東京がなれば、メーカーの技術力は確実にアップする。東京から日本の技術革新、産業革新を仕掛けるのだ。

●古賀茂明(こが・しげあき)1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011 年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)

(撮影/山形健司)