改憲に必要な「国民投票」について、基本的な“なぜなに”を解説

7月の参院選で圧勝した自公政権。改憲勢力が衆参で議席の3分の2を占め、憲法改正が現実味を帯びてきた。ただ、改憲に必要な「国民投票」について、投票の手順やルールを知っている人は少ないはず。

そこで『週刊プレイボーイ』34・35合併号では、「国民投票」の基本的な“なぜなに”を、2005年から国民投票法の起草に関わった南部義典元慶應義塾大学講師に解説してもらった。

Q:国民投票まで最長180日もかかるのはなぜ?

A:冊子やテレビ放送、新聞などで改正案を広報したり、「国民投票運動」を展開する期間が必要だからです。国会では国民投票広報協議会(衆参各10名で構成)が設置され、改正案の内容や、賛成、反対の意見などを掲載した冊子を作成して配布するなどの広報が行なわれます。

賛成、反対は公平かつ平等に扱われるルールとなっていて、双方の意見に割り当てられるページ数や放送時間は同じでなければなりません。

Q:「国民投票運動」ってなんのこと?

A:有権者に対して、憲法改正の賛成や反対を呼びかけることです。政党、団体、グループ、職場、個人など、あらゆる単位、階層、チャンネルで自由にできます。国政選挙のような厳しい規制もなく、投票日に運動をしても罰せられることはありません。

国民投票運動にはどんなルールがある?

Q:国民投票運動にはどんなルールがある?

A:基本はなんでもアリです。ひとりで街頭に立ち、演説をぶっても叱られないし、未成年者の運動も許されます。チラシの配布やポスターの掲示、グッズの作成・販売、街宣車の運転、戸別訪問、電話かけ、新聞、バナー広告、テレビ、ラジオCMもOKです。

ただし、CMは投票期日2週間前から禁止。また、公務員や教員などがその地位を利用した勧誘をすることも禁じられています。

Q:投開票はどう行なわれる?

A:投票は改正案ごとに、ひとり1票。用紙に印刷された「賛成」か「反対」に丸をつけ、投票所で投票箱に投函します。14日前からの期日前投票、不在者投票、在外投票も認められます。

開票の結果、賛成が投票総数の2分の1を超えれば、国民が承認したと見なし、憲法改正が成立します。憲法改正は投票日から30日以内に天皇によって公布され、その後、施行されます。

こうした流れを聞くかぎり、それほどややこしい印象はない。これなら大した混乱は起きないかも、という気がしてくる。しかし、それは甘い!

発売中の『週刊プレイボーイ』34・35合併号では、南部氏も「法律の専門家でもクビをかしげてしまうような不備がたくさんある」と指摘する国民投票法の問題を検証。改正案決定から、運動、投票日までの「大混乱」を完全予測しているので、ぜひご覧いただきたい。

■週刊プレイボーイ34・35合併号「日本初の『国民投票』 どこよりも早いQ&A」より