「復興予算の大部分は無駄遣いだというのが実態」と訴える池田和隆氏

第1次安倍政権崩壊の震源地だった男・池田和隆氏がタブー全開で権力と既得権益に斬り込む『週刊プレイボーイ』本誌のコラム「池田和隆の政界斬鉄剣!!!」。

ボート競技場が宮城になれば、30兆円を超える復興予算の「深い闇」も表面化する!? 前編記事に続き、東京五輪・ボート競技場問題ついてブッタ斬る!

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-宮城の「長沼ボート場」は?

池田「(ボート競技場の候補地の中では)宮城が最も高額になると思います。なぜなら、裏に莫大(ばくだい)な復興予算が潜んでいる」からです。おそらく表面的な建設費は低額に抑えておいて、駅や空港からのアクセスや周辺の道路整備、護岸工事など、多額のお金がかかる予算を復興予算につけ替えてゴマかすはずです。トータルで最も高くなるのは宮城でしょう。一番儲かるからこそ、宮城に持ってきたいと強く願う人間の数も多いのです」

-宮城では誰が儲かるの?

池田「東日本大震災以降、実に30兆円以上もの復興予算が被災地につぎ込まれてきました。しかし本当に効果的な使い方は一部で、大部分は無駄遣いだというのが実態なのです。復興予算は、実はかなり闇が深い。震災以降の5年半で甘い汁を吸い続けてきた地元の土木建設業者や政治家たちが、さらなる大儲けを狙って積極的に誘致活動をしているのです」

-でも、地元住民には恩恵があるんだよね?

池田「残念ながら、長期的に見ると地元住民にも得がない。東京都庁にも埼玉県庁にも宮城県庁にも、公共工事の建設費を正確に計算できる職員がひとりもいないため、ゼネコンとグルになっている設計会社が高額な見積額を提示しても、その額が妥当か不当かの判断をする能力が役所にない。だから業者の言い値で発注するハメになる。必要以上に高額な施設は維持・管理費も高額になるため、無駄な税金が継続的にタレ流されることになり、その負担は地元住民や日本国民全体にのしかかるのです」

-どこもダメなのかぁ……。

池田「私は個人的に、あえて高額な宮城の長沼になればいいなと思っています。なぜなら、今後も現在のように国民的な高い関心が続けば、復興予算の深い闇もセットでマスコミによって世間に暴かれることも期待できるからです。30兆円の大部分が無駄遣いされた実態が明らかになれば、国民の怒りは頂点に達するでしょう」

●池田和隆(いけだ・かずたか)元農林水産大臣秘書官。1967年生まれ、熊本県出身。「農林族議員のドン」と呼ばれた故松岡利勝元農水大臣の秘書を16年間務め、国家権力や利権、国の意思決定の実態を内側から目撃し続けてきた知られざる重要人物。第1次安倍政権の崩壊も、実はこの男が震源地だったのだ!!

(構成/菅沼 慶 撮影/本田雄士)