「レームダック化(政治家が任期末期に政治的影響力を失うこと)なんてレベルじゃない。もう完全に『瀕死(ひんし)状態』。もはや、朴槿恵(パク・クネ)大統領は政治家としては終わったと見るべきです」(韓国紙東京特派員)
韓国政界に激震だ。朴大統領が演説草稿や政府人事などの機密事項を民間人女性に「事前検閲」してもらい、そのアドバイスに従って国政の重要事を決めていたという疑惑が浮上したのだ。
その「民間人女性」とは、朴大統領の40年来の親友とされる崔順実(チェ・スンシル)氏(60歳)。一体、どんな人物なのか? 前出の東京特派員が言う。
「順実氏は新興宗教家・崔太敏(チェ・テミン)氏の五女で、朴大統領とは10代の頃からの付き合い。友人の少ない朴大統領にとっては特別な存在だったようで、青瓦台(せいがだい・大統領府)にも出入りしています。朴大統領のファッションコーディネートや外遊日程づくりなどを助言する人物として、一部の政界人から知られていました」
だが、順実氏はただのファッションコーディネーターではなかった。実は、彼女には朴大統領の音頭で財界が設立したふたつの財団を私物化しているとの嫌疑が。その捜査過程で、財団幹部が「順実氏の執務室にはほぼ毎日、青瓦台から厚さ30cmほどの大統領報告資料が届いていた」と暴露証言していたことが、10月24日に明らかになったのだ。韓国人ジャーナリストが説明する。
「驚くべきことに、順実氏は届けられた資料を基に大統領秘書官らと秘密会合を開き、『ああしろ、こうしろ』と、朴大統領に成り代わって様々な国政課題に指示を出していたというのです。もし、これが事実なら、朴大統領は順実氏の操り人形のようなもの。政治家が決断を下す際、一般人に頼っていたとしたら、もはや大統領とは呼べません」
前出の東京特派員もこうため息をつく。
「数年前、日本でもオセロの中島知子さんが占い師の女性に洗脳され、奇妙な言動を繰り返すという騒ぎがありました。それと極めてよく似たことが韓国政界で、それも最高権力者である大統領の身の上に起こっているとしたら大問題です」
疑惑を受け、韓国では朴大統領を弾劾(だんがい)すべきとの声が高まっている。
「朴大統領の任期は1年4ヵ月も残っている。その間、国政を停滞させないためには大統領は外交に専念し、内政は与野党が協力して担うなどの緊急対策を講じる必要があります」(前出・東京特派員)
朴大統領は韓国史上最低の大統領として人々に記憶されることになるかもしれない。