ただのおばさんが大統領にアドバイスし、国の重要事項を決めていたのか―?
そんな疑念を韓国国民にもたらした崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入疑惑。その波紋はとどまるところを知らず、ついに韓国政府のロゴマークまでも順実氏が決めていたのではという疑いが浮上している。
韓国紙の在京特派員が言う。
「今年3月、韓国政府のロゴマークが67年ぶりに変わったんですが、そのデザイン選定にも順実氏が関与していたようなのです」
韓国政府のロゴマークはムクゲ(韓国の国花)の文様を中心にデザインされていたが、今年3月からは太極旗にある赤、青、白で構成される太極文様へと変更されている。
「このロゴマーク選定を担当した広告監督が順実氏の側近と目される人物だったんです。太極文様は陰陽を表現し、シャーマニズム信仰と関係が深い。こうしたことから、大統領に宗教的影響を与えていたとされる順実氏が広告監督を通じ、中央22省庁の共通マークでもある韓国政府のロゴマーク選定に干渉したのではないかとささやかれているのです」
もし疑惑が事実なら、まさにやりたい放題。民間人に国政介入を許した朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する国民の怒りはすさまじく、韓国内では「朴槿恵辞めろ!」の怒号が飛び交っている。
気になるのは今後の政局。国政での主導権を握ろうと大統領府、与党セヌリ党、野党3党が三つどもえの政争を繰り広げているのだ。
「当初、野党は大統領はもはやレームダック化しているとして、その政治空白を埋めるために、与野党で挙国中立内閣をつくるべきと主張していました。ところが、大統領支持率がひとケタ台に急落してビビった与党セヌリ党が賛成を表明すると一転、『今はそんな時期ではない』と拒否に転じた。野党は挙国内閣の閣僚選びなどで、与党からさらなる妥協を引き出そうと、ハードル上げの挙に出ているのです」(在日韓国人ジャーナリスト)
さらに、ここにきて朴大統領が与野党の虚を突いて内閣改造を断行。新首相を任命してしまったからややこしい。
前出の在京特派員が嘆く。
「新首相に起用されたのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で副首相を務めた野党系の金秉準(キム・ビョンジュン)氏。大統領は野党に近い人物を首相に抜擢(ばってき)することで、野党の攻勢から逃れようとしたものの、この人事には野党はもちろん、与党セヌリ党も猛反発している。韓国政界はますます混乱することになるでしょう」
年内には日中韓首脳会談も予定されているが、混迷はまだまだ続きそうだ。