外務省が戸惑っている。一連の崔順実(チェ・スンシル)国政介入疑惑で支持率4%に急落した韓国・朴槿恵(パク・クネ)大統領が、12月中旬に東京で行なわれる日中韓首脳会談に意欲満々で「出席」を表明したからだ。
韓国の最大野党「共に民主党」関係者が言う。
「国民の退陣要求は日ごとに強まっているのに、朴大統領は大統領のイスに居座ろうとあれこれ画策している。日中韓首脳会談の出席表明もそのひとつでしょう。自分を辞任に追い込んで、首脳会談という国家間の公約を果たせなくなってもいいのかと、国民を恫喝(どうかつ)しているのです」
この動きを日本の外務省はどう受け止めているのか?
「当初はいくら支持率が低かろうが、レームダック化しようが、朴大統領を温かく迎え、会談を開くというのが政府の方針でした。でも、先日の韓国検察の発表で、事情が様変わりしてしまったんです」(外務省関係者)
韓国検察が崔容疑者の起訴状を公表したのは21日のこと。その中に次のような驚くべき一節があったのだ。前出の「共に民主党」関係者が説明する。
「起訴状に『崔順実ら被告と朴大統領は共謀関係にある』と記されていたのです。これは検察が朴大統領を犯罪の被疑者と見なしていることを意味します。現職の大統領が被疑者になるなんて韓国史上初めてのこと。これで朴大統領は退任後、裁判にかけられることがほぼ確実となりました」
前出の外務省関係者が複雑な胸中を打ち明ける。
「朴大統領が犯罪被疑者となれば話は別です。そんな人物と安倍首相を会わせてよいものか。たとえ会談しても、政治的合意を交わすことはできません。朴大統領が自らの判断で出席をキャンセルしてくれれば助かるんですが」
その後、条件付きでの退陣を表明し、会談の越年も視野に入れられているが、延命のために日中韓首脳会談を利用するのであれば、日本だけではなく中国にとっても、朴大統領の「押しかけ出席」は頭痛のタネだ。