11月21日、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の部隊が派遣先の首都ジュバに到着した。
これまでと違うのは、今回派遣された第11次隊からは「駆けつけ警護」などの新任務が付与されたことだ。
駆けつけ警護とは、離れた場所にいる国連やNGO関係者らが武装集団などに襲われた場合、要請があれば自衛隊が武器を持って救援に行けるというもの。この新任務付与の前提は、ジュバの情勢が「比較的落ち着いている」という政府の判断だった。
当然、野党側は「判断の根拠」を求めたが、防衛省が出してきたのは真っ黒に塗られた稲田朋美大臣への説明資料だった。衆議院安全保障委員会筆頭理事の民進党・後藤祐一議員が憤る。
「情勢分析した上で『比較的安定している』と判断した根拠を示さず、完全のり弁当では説明責任の放棄。自衛隊員の安全を守るのが先ではないか。結論が先にありきで現地に行かされる自衛隊員の身にもなってほしい」
7月にはジュバで270人以上が死亡する武力衝突があり、最新の国連報告でも「カオス(混沌)」との表現があった南スーダン。無事を祈るばかりだ。
(取材・文/畠山理仁)