トランプ新大統領に勇気をもらい、世界の右ターンが超加速していくのか?

極端な右翼思想(の人)を「極右」という。トランプ氏がアメリカ大統領に就任する2017年は、この極右がハンパない勢いで拡散する年になるらしい。

「昨年末のトランプ氏の大統領当選は、ヨーロッパの右派政治家にとって大きなインパクトになりました。自分たちとよく似た政治主張の持ち主で、しかもポリティカルコレクトネス(政治的、社会的に中立・公平であり、いかなる差別も偏見も含まない姿勢)など気にせず、公の場で攻撃的かつ差別的なセリフを吐く人間が、アメリカのトップに収まったんですから。

彼らにしてみれば、『トランプのような極右が世界最強国のリーダーになれる時代になったんだ』と、強力な援軍を得た気分になっているのだと思います」(国際ジャーナリストの河合洋一氏)

事実、フランス、ドイツ、イギリスなど今、ヨーロッパを中心に「極右ポリュリスト」とでも呼ぶべき政治家が次々と台頭しているのだ。 では、2017年に更なるブレイクが予想される“右寄りな政治家”は? ここでは注目の4名を紹介しよう!

1:フランス

欧州極右のトップランナーッッ!『国民戦線』党首、“女トランプ”ことマリーヌ・ルペンッ!!!」

今、最も大統領に近い極右と言えばこの48歳の女性だ。今年5月のフランス大統領選挙の最有力候補のひとりで、現在、支持率は急上昇中。反移民、反イスラム、反EUを掲げ、「トランプ、プーチン、ルペンで世界平和が実現する」と豪語! 趣味はガーデニング。フランス全土を自分の“庭”にする日は近い!!?

2:ドイツ

“反移民”でメルケル首相と真っ向勝負ッ!実は苦労人だ! 『ドイツのための選択肢』党首、フラウケ・ペトリッッ!!」

41歳。メルケル現首相の移民政策に真っ向から異を唱えて支持を集め、昨年9月に第2政党へ躍進。「緊急時は銃を使ってでも難民を食い止めろ」は彼女の名言(?)として有名。化学者として、07年にポリエステル製造会社を起業するも6年で倒産。約3千万円の借金を背負った苦労人である

まだまだいる右寄りな政治家たち

3:オランダ

「過激発言なら俺にまかせろッ! 超・ヘイトスピーカーッ!!『自由党』党首、ヘルト・ウィルダースッッ!!」

テレビ番組で預言者ムハンマドの風刺画を公開し、イスラム教徒を挑発。「(国内で)コーランを読むな!」「シリアの内戦に参加したヤツはオランダへの入国を禁止しろ!」などの過激発言を連発し、ついには同国のヘイトスピーチ罪で裁判にかけられた。だが、やりたい放題やっていたら党の支持率は逆に上昇。昨年末には人気トップの政党に! モーツァルトヘアーの53歳だ。

4:トルコ

青年組織「灰色の狼」の乱暴ぶりがヤバいッ!『民族主義者行動党』党首・デヴルト・バフチェリッッ!!」

15年に中国当局が新疆ウイグル自治区でラマダーン(断食)を妨害していると報じられると、党の青年組織「灰色の狼」がトルコを観光中の韓国人を中国人と間違えて襲撃! しかしバフチェリは「韓国人と中国人の何が違う? みんな裂けた目だ」と開き直り、両国を激怒させた。大統領権限の強化を狙うエルドアン大統領の憲法改正に協力的で、第1党・公正発展党との連立もありうる。

発売中の『週刊プレイボーイ』5号では今から注目すべき総勢9名の極右政治家を紹介。また、彼らを操るロシア・プーチン大統領の思惑やテロリストと極右が結託する“悪夢のシナリオ”を分析した。きな臭くなってきた世界の行方を「右寄りな人たち」から読み解く特集を、本誌でご覧ください。

(取材・構成/小峯隆生)

■週刊プレイボーイ5号「みぎこれ~世界を揺るがす極右これくしょん~」より