今、アメリカで「トランプ大統領を操る危険人物」と目される人物がいる。昨年の大統領選でトランプ陣営の選挙対策本部長を担当し、首席戦略官としてホワイトハウス入りしたスティーブ・バノン氏だ。
「バノン氏は極右サイト『ブライトバート・ニュース・ネットワーク』の立ち上げに関わり、同サイトの会長を務めました。白人至上主義者で、女性嫌悪やマイノリティへの差別意識を隠さない、日本で言うなら“究極のネトウヨ”です。『有色人種や移民は生まれながらの犯罪者』など過激な発言を今も連発しています」(外信部記者)
国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソン氏は言う。
「あるインタビューで、バノン氏は『私はレーニン主義者。国家を破壊したい』と語ったそうです。もし本当なら、彼はアナーキスト(無政府主義者)でもあります」
バノン氏の暴走は止まらない。1月27日、トランプ大統領がイランやシリアなど、イスラム圏7ヵ国の人々の入国禁止令を出したが、それを主導したのがバノン氏とされている。翌28日、トランプ大統領はバノン氏を、なんとNSC(国家安全保障会議)の常任メンバーに任命した。
「NSCは国の安全保障政策を決める場。その常任メンバーになったバノン氏の権限は強大です。テロリスト暗殺の軍事作戦を命じるのはもちろん、例えば中国と南シナ海で武力衝突を起こす決定を急がせることもできます」(モーリー氏)
今後はLGBTへの弾圧も
今後はLGBTへの弾圧も予想されるという。
「実はバノン氏の助言で、トランプ大統領がLGBTの人権を大幅制限する大統領令を出すというウワサがある。それは憲法が保障する『信教の自由』を盾に、来店したゲイカップルに『(キリスト教の)倫理に従い、あなたたちにはサービスしない』と退店させることを認めるというもの。
これは『最悪のシナリオ』ですが、もしこの大統領令を出し、黒人やヒスパニックにも抑圧的な政策を取れば、極右や白人至上主義者たちの排外主義に大統領が倫理的なお墨付きを与えることになる。LGBTや有色人種に対する犯罪が頻発し、反対運動も起こるでしょう。
そして、バノン氏はこの反発がより先鋭化するようトランプ大統領の発言を“調整”する。臨界点を超えたところで暴動が発生、州のレベルで『非常事態』を宣言し、それがアメリカ全土に広がる…。『国家を破壊したい』と言った男ですから、そこまで考えている可能性は十分ある」(モーリー氏)
混乱はこれからが本番だ。