今国会で審議される法案は例年に比べ数こそ少ないが、重要度は高いモノが多い。安倍政権の動向に要注目だ 今国会で審議される法案は例年に比べ数こそ少ないが、重要度は高いモノが多い。安倍政権の動向に要注目だ

1月20日にスタートした第193回国会。提出法案は64本と、例年に比べ半分以下になっている。しかし、審議される法案は控えめどころか、国民生活に大きな影響を与えかねないヤバい法案がめじろ押しだ。

中でも目玉といえる法案が「テロ等準備罪」。以前は「共謀罪」と呼ばれた。

この法案に詳しい山下幸夫弁護士がこう批判する。

「法案はテロの防止を目的に掲げていますが、中身は犯罪を計画した段階、つまり“思っただけでも”処罰の対象だというもの。実態は悪名高い『共謀罪』と変わらないのに、テロ等準備罪と看板をかけ替えて国民をだまそうとしているのです」

この法律は、導入の理由にもウソが目立つという。

「首相は『国連の国際組織犯罪防止条約を批准するためにテロ等準備罪が必要で、それなしには2020年五輪も安全に開けない』と言っていますが、真っ赤なウソです。

04年に国連が示した立法ガイドでは、共謀罪をつくらなくても組織的犯罪を準備段階で摘発できる『予備罪』などがあれば、それでもよいとなっています。そして、すでに日本は『共謀罪』が23、『予備罪』『準備罪』に至っては46の関連法が整備されている。あとは外務省が国連の事務局に通告すればよいだけのこと。新たに『テロ等準備罪』をつくる必要はないのです」(山下氏)

なぜ、そんなウソまでついて成立へとひた走るのか?

「今後、集団的自衛権に基づいて自衛隊が海外派遣されることが予想されます。そのとき、自衛官が戦死すれば、国内で激しい反戦運動が起こるはず。そのほかにも反原発や反基地の動きも政府にとっては煩わしい。安倍政権は共謀罪を使い、こうした政府に逆らう人々に圧力をかけたいのでしょう」(山下氏)

ジャーナリストの青木理氏がこう心配する。

「テロ等準備罪が成立すれば、相当な監視社会になりかねない。まだ起きてもいない犯罪を共謀の段階で摘発するには、日常的な盗聴などが必要となるからです。立証も供述が基本となり、自白を強要する捜査手法がまかり通り、冤罪も多発する可能性がある。国家が個人の内心を監視する社会は末恐ろしい。だからテロ等準備罪が成立すれば、日本はこれまでとはレベルの異なる社会に突入することを覚悟すべきです」

今国会で審議される法案は例年に比べ数こそ少ないが、重要度は高いモノが多い。しかし上記の「テロ等準備罪」のように、その真の狙いは隠され、メディアでまともな議論も行われていない。

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