『希望の塾』塾生から「選挙妨害を受けた」と東京地検に告訴した齋藤一恵氏。手に持つのは告訴状のコピー 『希望の塾』塾生から「選挙妨害を受けた」と東京地検に告訴した齋藤一恵氏。手に持つのは告訴状のコピー

都議選で圧勝した、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会(以下、都民ファースト)。50人の候補者を送りこんで大幅に議席を伸ばし、公明党など“親小池”勢力を含めて過半数を獲得した。

ところが都民ファーストを巡っては、選挙中から内部のゴタゴタを指摘する声も少なくなかった。

「『希望の塾』の塾生から選挙妨害が続き、私も怖い思いをしています。『やめてくれ』と言っても聞き入れてもらえないので、公職選挙法の自由妨害罪で東京地検に告訴しました」

選挙期間中の6月27日夜、中央区から立候補した齋藤一恵氏が緊急記者会見に集まった記者たちにこう切り出した。齋藤氏は小池氏が主宰する政経塾「希望の塾」の一期生で、シンガポールで会社を経営していたが、その掲げるビジョンに共鳴して帰国し入塾。

希望の塾には約4千人が集まり、都民ファーストは都議選への立候補者を塾生から選んでいる。つまり、希望の塾はその実質的な受け皿だ。だが齋藤氏の場合、公認を得られなかったため、独自に政治団体を立ち上げて出馬。ところが、その名称やたすきなどが都民ファーストに似ていたため、他の塾生からの誹謗中傷が始まったという。

「小池氏を支えるために塾生らによって作られたフェイスブックページで『パクリの脳タリン、齋藤の落選運動をする』などと書き込まれ、私の携帯電話にも『立候補を取りやめろ』『これから事務所へ行くからな』といった脅しのようなメールが10件以上きました」

イヤがらせをしてきた塾生らとの面識はなく、とにかくやめてほしいと連絡したが返事はなし。「都民ファーストが組織的にやっているのでは?」とすら思えてきたという。

塾生などを中心に7千人超のメンバーを抱えるそのフェイスブックページを見ると、確かに齋藤氏へのイヤがらせの書き込みが複数あり、賛同するコメントも見られた(これらのコメントは会見の2日後、6月29日に削除)。どうやら、同じ中央区から出馬した都民ファーストの公認候補が不利になるから、齋藤氏に出馬を取り下げろと迫っていたようだ。

だが、公職選挙法では威力を行使して選挙活動を妨害すると4年以下の懲役。単なるイヤがらせでは済まなくなる。こうした塾生同士のトラブルに加え、都民ファーストへの不信感はあちこちから聞こえてきた。

やはり、希望の塾を経て南多摩選挙区から無所属で出馬した土居範洋氏(35)が指摘する。

「塾生の何人かが、塾の収支報告を明らかにしてほしいと何度も申し入れました。ところが依然として出ていないのです。小池都知事のいう透明性、情報開示とは随分違います」

希望の塾では1回2時間の講義が全6回行なわれた。受講料は男性5万円、女性4万円、学生3万円。4千人で1~2億円ほどの収益になるが、何にどう使われたかは塾生に知らされていない。小池都知事は東京大改革で都政の透明化を掲げているはずだが…。

マンパワーが全く足りていない!

さらに、荒川区から無所属で出馬した塾生の宮本しゅんま氏(26)も都民ファーストがやっていることは「従来の“しがらみ選挙”と同じだ」と指摘する。

「公認候補を見ると、知名度や職歴などきらびやかな人ばかり選ばれている。これでは地盤、看板、カバンという3バン方式を柱とする今までの選挙となんら変わりません」

齋藤氏もこう続ける。

「今年1月の都議選候補者を育成する『都議選対策講座』での面接時間は10分程度。結局、落とされましたが、こんな短い時間で何がわかるのでしょうか」

そもそも、都民ファーストや希望の塾を運営する側の体制が追い付いていないとの声もある。

「電話はつながらず、メールで取材を申し込んでも返事がくるのは大抵、翌日。マンパワーが全く足りていないのです」(全国紙記者)

都民ファーストは齋藤氏に対する妨害行為について、こう回答した。

「組織的な嫌がらせを行なったという事実は一切なく、書き込みをした男性も都民ファーストの会の政党関係者ではありません。塾生が違法行為をしたのであれば大変遺憾で、必要に応じて適正な対処を検討します」

東京を改革すると断言した都民ファーストへの期待は小さくないが、ホントにこれで大丈夫なのか!? 都議会のかじ取りでは、ゴタゴタのないように願いたい。

◆発売中の『週刊プレイボーイ』29号では特集「小池都知事&都民ファーストの会を待ち受ける難題とは?」で、猪瀬直樹元都知事と弁護士・宇都宮健児氏がさらなる不安要素を解説。そちらもお読みください!

(取材・文・撮影/桐島瞬)