2012年の政権発足以来、党内外に敵なし状態だった安倍首相が窮地に追い込まれた。
勝ち続けることで強大な権力を掌握してきた「一強」が崩れた今、乱世のゴングが高らかに鳴った!?
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57あった議席が、半分以下の23に―。小池百合子都知事率いる都民ファースト旋風が吹き荒れた東京都議選で、文字どおりの歴史的大敗を喫した自民党。この結果に安倍官邸が震えたのも無理はない。
「都議選の結果は次の国政選挙に反映されるというのが永田町の常識。しかも、衆議院の任期が切れる来年12月までに必ず総選挙をやらなくてはいけない。内閣支持率も急落している。このままでは国政でも大敗しかねない…と、自民党全体が揺れているんです」(全国紙政治部記者)
そんな安倍官邸が「支持率再浮上のチャンス」とすがるのが、8月にも行なわれる予定の内閣改革だ。
「稲田朋美防衛相、金田勝年法相、山本幸三地方創生担当相ら、失言や答弁ミスを繰り返した“戦犯”の交代は間違いない。その一方で、安倍首相は橋下徹(はしもと・とおる)前大阪市長、小泉進次郎衆院議員といった超人気者へ入閣を打診するのではないかとの観測が流れています。ポストは橋下氏は法相、進次郎氏は厚労相あるいは政権が力を入れている『人づくり革命』担当相になるでしょう」(政治部記者)
しかし、ある自民党関係者は首を横に振る。
「支持率が6割を超えていた頃ならまだしも、今の安倍政権は加か計け学園問題などのスキャンダルが終息せず、不支持率が支持率を上回っている状態。テレビで冠番組を持ち、世間への発信力を強化している橋下氏や、都議選での応援演説で圧倒的な動員力を誇示した進次郎氏が、右肩下がりの政権の“人寄せパンダ役”をわざわざ引き受けるとは思えません」
このふたりがダメだとすると、ほかに名前が挙がるのは三原じゅん子参院議員、橋本聖子参院会長といった女性政治家の起用。しかしこの程度のプチサプライズでは、とても政権の浮上につながるとは思えない。
さらに、今回の内閣改造を機に、自ら閣外に去る大臣も出現しかねないという。ジャーナリストの川村晃司氏はこう語る。
「注目は岸田文雄外相です。彼は安倍首相らの清和会とは異なる岸田派の領袖(りょうしゅう)でありながら、これまでは一貫して外相として安倍政権を支えてきた。ところが最近になって、『安倍時代の後に何ができるか考えたい』といった意味深な発言をするようになり、岸田派内からも『権力は譲ってもらうものではない、勝ち取るものだ』との声が聞こえています。
もし、次期首相の有力候補のひとりとされる岸田外相が閣外に去るようなことがあれば、それは来年9月の党総裁選への立候補宣言に等しいと考えるべきでしょう」
◆『週刊プレイボーイ』30号(7月10日発売)「『ポスト安倍』戦国時代に突入だっ!」では、小池都知事や民進党の動向も掲載。そちらもお読みください。
取材・文/本誌ニュース班(協力/村上隆保 畠山理仁)