「日本維新の会公認」の前には、小さく「松下幸治代表の地域政党」の文字。「最重点候補」なのは松下氏ひとりだから

誰がどう見ても国政政党「日本維新の会」(松井一郎代表)の候補者と間違えるのではないだろうか? 何しろ党派名からポスターまで、あまりにも“そっくり”すぎるのだ。

ポスターの前でポーズを取っているのは、自身が立ち上げた地域政党(政治団体)「日本維新の会」の代表を務める松下幸治氏。同氏は7月9日投開票の奈良市議選(定数39)に「維新の松ちゃん」を名乗って立候補。

50人中39位でギリギリの当選を果たしたが、皮肉なことに26票差で落選したのは、“メジャー維新”の公認候補だった。

「日本維新の会」の名称は、松下氏のほうが4ヵ月早く総務省に届け出ているため使用に法的問題はない。しかし、選挙中はメジャー側から「まったく無関係」「ニセ維新」と攻撃される始末。有権者をだました認識は?

「僕自身は国政政党の『維新』を応援しています。僕は前回、1万票以上の得票でトップ当選しましたが、この票を分散させて、保守系の仲間を増やしたいと思ったんです。

今回は選挙を盛り上げようと思い、あえて自分の票を減らす作戦を取った。確信犯で、後悔はしていません」

別の意味で盛り上がりそうだ。

(取材・文・撮影/畠山理仁)