「私は県民ファーストだ」と語る現職の橋本候補(左)と、自民党大物国会議員の応援を受ける大井川候補(右)

都道府県の魅力度ランキング4年連続最下位。そんな茨城県の知事選(8月27日投開票)が、にわかに注目を集めている。

理由は候補者の顔ぶれ。6期24年にわたり県政に君臨する“水戸のプーチン”こと橋本昌(まさる)知事(71歳)に、多選阻止を掲げて自公推薦の大井川和彦候補(53歳)が挑む構図だ(ほかに共産推薦の鶴田真子美[まこみ]候補が出馬)。

大井川氏は経済産業省を退官後、マイクロソフトなどを経て動画配信大手ドワンゴの役員を務めたITエリート。自民党は菅義偉(すが・よしひで)官房長官や梶山弘志地方創生相、小泉進次郎副幹事長らを応援に投入する力の入れようだ。

「安倍政権にとって8月3日の内閣改造後、初の知事選。支持率は今も30%台の低空飛行が続き、県連からも『このままでは苦しい』との声もある。それだけに、彼の擁立を主導した菅官房長官らは必死です」(地元紙記者)

お盆真っただ中の8月16日、県北部の常陸(ひたち)大宮市で大井川氏を直撃すると…。

「森友、加計(かけ)学園疑惑による逆風? そんなものはまったく感じませんね」と強気。確かに自公の動員力はさすがで、演説の応援に駆けつけた県議、市議も多く、聴衆は300人を超えていた。

一方、県央部の笠間市のスーパー前で演説する現職の橋本氏の下に集まった聴衆は約70人。県議、市議の姿もわずか数人だった。だが、それでも地元評は「橋本氏が一歩リード」なのだという。

橋本氏は1993年の初当選以来、自民の推薦を受けてきたが、05年の4選目から自民は多選を理由に推薦を見送り。それでも保守王国・茨城で勝ち続け、今回も連合茨城や県市長会などの推薦を受ける。自身の出身地である東海村の日本原電・東海第2原発の再稼働に反対するなど、自民との対決ムード全開だ。

「一部の(自民党)県議が県政を牛耳ろうとしているなか、その仲間が知事になるよりははるかにいいと思う」と、多選批判に対しても鼻息荒く反論する。

そんな“プーチン”が7選を果たせば、さらなる逆風を恐れる安倍政権は、民進党や日本ファーストの会の足元が固まる前に衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が高い。「茨城夏の陣」の行方に注目だ。