日比谷線の虎ノ門新駅(仮)ができる予定の虎ノ門エリア。バスターミナルもできて交通の要所となる

「東京五輪に向けた街の変化で一番大きく価値を実感できるのは“交通インフラ”の進化」と語るのは、ハーバード大学大学院にて都市デザインを学び、現在は東京が抱える課題に取り組む建築家・各務(かがみ)太郎氏。2020年までに交通機関はどう快適になる!?

「交通インフラ進化の軸となるのは港区の虎ノ門エリアです。虎ノ門は六本木に匹敵する国際都市へと変貌し、交通のハブとしての機能も持つ予定。日比谷線56年ぶりの新駅『虎ノ門新駅(仮)』、そして巨大なバスターミナルの誕生が東京の交通に変化を与えるでしょう」

虎ノ門…あまり縁のない人も多そうだけど、我々が感じられる恩恵って?

「まず、日比谷線の新駅は銀座線の虎ノ門駅とつながるため、乗り換えルートが増え都内の地下鉄移動を効率的に行なえるようになります。特に、地下深くのホームまで移動しなければならない都営大江戸線を利用せずにすむルートが増える価値を東京の生活者は強く感じることになるでしょう」

バスターミナルの誕生ではどんなことが起こるの?

「現在整備中の虎ノ門バスターミナルは、東京都心とお台場や豊洲などの臨海副都心の間をスムーズに移動できる『バス高速輸送システム(BRT)』の拠点として活用されます。19年運行開始予定のこのバスは自動運転による運行も計画されており、電車並みに正確な運行が可能になるといわれています。将来的には羽田空港への直結ルートも整備されるはずなので、今後はバスの発達からも目が離せません」

その他、虎ノ門エリア以外にも、東京メトロのホームドア設置率100%を目指す計画(現在は47%、20年夏77%)による地下鉄の安全性向上や、東西線の大規模改良工事による混雑緩和など、20年に向けた交通インフラの進化は数え切れないと話す各務氏。最後にこんな情報も。

20年にはシェア自転車という移動手段も存在感を増しているはず。東京都は五輪をめどに自転車専用レーンを約100km整備することを発表。先日は中国の自転車シェアリングサービス大手の「摩拝単車(モバイク)」が札幌でサービスを開始しましたが、東京にもその波が来ることは確実で、これにより既存のレンタサイクル市場も活性化するでしょう。

健康的かつ交通費も節約できる自転車移動がしやすくなることは五輪によって都民が受けられる大きな恩恵のひとつといえそうです」

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(取材・文/黄孟志 写真/AFP=時事)