先の衆院選で圧勝し、もはや敵なしの安倍政権。しかし、自民党内にはひそかに不協和音が生じている。
なかでも衆院当選3回の若手議員たちは、国会で存在感を発揮する機会がないことに少なからぬ不満を抱えているようだ。
そして、あの小泉進次郎氏(筆頭副幹事長、当選4回)のごとく「はっきり“上”にモノを言う!」と表明している3回生議員も続出しているらしい。実際はどうなのか、探ってみた。
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最近、進次郎氏は党執行部への批判を繰り返している。
11月1日、安倍首相が幼児教育無償化の財源として、財界に3000億円の拠出を求めたことに対し、「まったく党で議論されていない。このままだと(自民)党は必要ない」と発言。翌日には党本部で「議席の数ほど自民党への信頼、強固な国民からの負託は感じていない」と官邸にくぎを刺していた。
そんな進次郎氏に影響されたのか、不倫スキャンダルなどが相次ぎ、政界から「魔の3回生」と揶揄(やゆ)されてきた自民党の3回生議員たちが、やけに勇ましい。
例えば、10月27日には石崎徹氏(党青年局次長)ら3人の3回生議員が各党の議席数に応じて国会での質問時間を配分するよう、党国対に申し入れもした。この件について、自民党国会議員の秘書はこう同情する。
「ウチは衆院議員だけで283人という大所帯だけに、当選回数の浅い3回生にはなかなか質問のチャンスが巡ってこないんです。ただでさえ彼らは軽く見られることが多いのに、これでは地元の有権者に『しっかりと仕事をしている』とアピールできない。出番がくるように、与党の質問時間をもっと増やしてという彼らの気持ちもわかります」
また、政治部記者はこう話す。
「現在、約90人いる3回生のほとんどは、2012年に安倍総裁の率いる自民党が政権復帰をしたタイミングで初当選を果たした人たち。いわば、“安倍チルドレン”です。そんな彼らに時間を与えても、政権に手厳しい質問なんてするはずがない。
そう考えて『質問時間を増やし、国会のテレビ中継に映りたいだけでは?』とある3回生に尋ねると、『違います。党内の論議を経ていない政策については、きっちりと首相をはじめ、官邸に説明を求める質問をします』と断言していました。この反応にはちょっと驚きましたね」
しかし11月15日の衆院文部科学委員会では、与党議員が政権を追及するようなシーンは見られなかった。