「なんてバカなことを言うんだ。アメリカは平昌(ピョンチャン)五輪を潰すつもりか!?」
こう憤慨するのは、さるKOC(大韓民国オリンピック委員会)関係者。その怒りの矛先は、ヘイリー国連駐在米国大使だ。12月6日、米FOXニュースのインタビューで、「(平昌冬季五輪参加は)まだ解決されていない問題」とコメント。緊迫する北朝鮮情勢を理由に、アメリカ選手団が参加を辞退する可能性があるかのような発言だった。
「すでに国家ぐるみのドーピング行為へのペナルティとして、ロシアの不参加が決まっている。ここでアメリカまで不参加を検討しているとなれば、平昌五輪はもう持たない。ヘタをすれば、北朝鮮問題に関連して以前から参加に不安を抱いていたフランスやドイツ、オーストリアなど欧州の冬季スポーツ主要国勢も次々と辞退を表明しかねないからね」(KOC関係者)
発言の重大性に気づいたのか、ヘイリー大使は4日後になってようやく「アメリカ選手団は平昌五輪に参加する」と発言を修正し、事態の収拾に大わらわ。ところが、韓国国内の動揺はいまだに収まっていないという。某韓国紙の東京特派員がこう言う。
「ヘイリー大使の修正発言を額面どおりに受け止める人は少ない。米上院軍事委員会のメンバーでもある共和党のグラム上院議員が12月3日、米国防総省(ペンタゴン)に対して『在韓米軍の家族をすぐにでも退避させるべきだ』と求めたことは、韓国内でも広く知られていますから。
トランプ政権による北朝鮮攻撃の可能性は日増しに高まっています。いずれ米朝どちらかに何か軍事的な動き、あるいはその兆候があれば、アメリカ選手団の参加辞退の話は蒸し返されることになるはず。その瞬間、各国の“辞退ドミノ”が起こり、平昌五輪は史上例を見ない“空っぽオリンピック”になってしまうかもしれません」
北朝鮮ウオッチャーの間では、次なるミサイル発射あるいは核実験は、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の命日である12月17日から金正恩(キム・ジョンウン)委員長の誕生日である18年1月8日までの間に行なわれる可能性が高いとの見方がある。開催国・韓国にとっては、2月9日の五輪開幕まで綱渡りの日々が続きそうだ。