「与正(ヨジョン)ショック」に揺れる韓国。平昌五輪に際し韓国入りした北朝鮮・金正恩(キム・ジョンウン)委員長の実妹である与正氏が、平壌(ピョンヤン)で早期に南北首脳会談を開く用意があるという“兄の意向”を韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に伝えたのだ。
韓国紙の東京特派員がその衝撃の大きさをこう語る。
「まさか与正を送り込んでくるとは…。“敵地”である韓国に金ファミリーの一員を派遣するなんて、これまでの北朝鮮ならありえない話。本気で南北トップ会談をやるつもりなのでしょう」
この提案に文政権は色めき立った。何しろ、南北首脳会談の実現は文大統領の主要公約のひとつ。就任後も「核ミサイル問題の解決に向けて話し合いたい」と、何度もラブコールを送ってきたのだ。
気になるのはその「Xデー」。韓国からは「祖国解放記念日の8月15日か?」との予想も聞こえてくるが…。
「8月15日では遅すぎます。平昌五輪に配慮して延期となっていた米韓合同軍事演習が再開される4月になれば、米朝間の軍事的緊張は再び高まる。そこから4ヵ月も間が空くのでは、その前にしびれを切らした米トランプ政権が対北先制攻撃に踏み切るかもしれません。
文政権とすれば、できるだけ早く南北会談を開き、米朝直接対話のお膳立てをしたい。そう考えると、Xデーは2000年に金正日(キム・ジョンイル)総書記と金大中(キム・デジュン)大統領が平壌で首脳会談を行なった記念日の6月15日が有力です」(東京特派員)
ちなみに、与正氏が訪韓の際に乗ってきた北朝鮮政府専用機の便名は「PRK615」。この615という数字が、北朝鮮側のメッセージなのでは…と見る向きもあるという。
「実は、6月前半に統一地方選を控える文政権にとっても、6月15日に首脳会談を行なうのは好都合。南北対話を進めるという期待感を背負って選挙戦を進めることができますから」(東京特派員)
ただし、その実現のためには「北朝鮮に利用されるだけ」の結果を警戒する日本とアメリカの同意を取りつけることが不可欠。文政権がそのかじ取りに失敗すれば、史上3度目の南北首脳会談は幻となる。Xデーは本当に来るか?
(写真/時事通信社)