政府が進めようとしている放送制度改革で一体、何が変わるのか?
『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編に続き、この改革の意味を問う!
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ホリ でも、番組の内容がもっと自由になったりはしないのかね?
ひろ TOKYO MXでやっていた『ニュース女子』みたいな番組は増えるかもですね。この番組って沖縄の米軍基地反対運動を扱った回でBPO(放送倫理・番組向上機構)から「重大な放送倫理違反があった」と指摘を受けたわけですけど、こういうのも問題なくなる、と。
ホリ ニュース女子はネットで番組を続行しているしね(笑)。そもそも「民放テレビ局と同列に扱う」ってことで、ネット動画配信サービスの会社が今まで以上に有利になるってわけでもないし。
ひろ ええ、ネットの会社のメリットがいまいちわからないですよね。「新規参入を促す」ということですけど、別に地上波の電波オークションが始まるとは言っていないですから。つまり、電波利権という参入障壁は残ったままだろうし、中途半端に横並びになって終わりってことになるんじゃないのかなと。
そう考えると、今回の方針は安倍政権がマスメディアを萎縮させたくて言っているだけで、特になんも変わらんっていうオチな気がします。
ホリ 筋論として考えると、国際競争力を長期的に伸ばすには、民放の垂直統合をやめさせて、インターネットの水平分業の仕組みに変えていくってことだと思うけど、「時すでに遅し」と言うべきかな。
ひろ AbemaTVはテレビ朝日と組んでやっていますけど、結局、赤字ですからねぇ。運営するサイバーエージェントはソーシャルゲームで稼いだ利益を突っ込むことでAbemaTVが成立している状況ですから、ソシャゲの売り上げが落ちたらAbemaTVを支えられなくなって終わっちゃうんではないかと。
ホリ 一方で「ネットフリックス」とか「アマゾン」は桁違いの予算をかけてきている。ネットフリックスは年間6千億円を自社のコンテンツに投資している。対するAbemaは200億円。グローバルでやっているサービスと国内でやっているサービスを比べるのは乱暴だけど、相手はそれくらい攻めてきてるから。
ひろ しかもAbemaTVと違って、ネットフリックスやアマゾンプライムは利益が出ているので継続性もありますからね。こういう話を聞くと、「結局、日本は外国にやられるのか...」と悲しむ人もいるみたいですけど。
ホリ でも、別にコンテンツを提供する企業がどこの国だろうが構わないよ。消費者としては面白いコンテンツが出てくれば、アメリカのサービスだろうがイギリスの企業だろうが関係ないわけだから。
ひろ 結局、放送の規制が取り払われたところで、動画配信サービスの厳しい状況は変らないと。
ホリ うん。さっきも言ったけど、「時すでに遅し」な感じしかしないね。
(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中
●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『無敵の思考―誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21』(大和書房)