DARPAによるコンセプト図。有人の輸送機から次々と小型の無人機が放たれ、偵察・索敵活動を行なって再び母機へ帰還する計画だ。 DARPAによるコンセプト図。有人の輸送機から次々と小型の無人機が放たれ、偵察・索敵活動を行なって再び母機へ帰還する計画だ。

無人化が進む現代における戦場では、戦闘空域により多数の無人機(UAV)をいかに効率よく投入できるかが勝負の分かれ目となるようなケースも多く、各国が無人機とその運用に関する技術開発を競っている。

そんな中、世界最強の米軍が、間もなく“空飛ぶ空母”の実証実験を行なうとのニュースが飛び込んできた。一体どういうことなのか?

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この構想は、DARPA(ダーパ、米国防高等研究計画局)が進めている「グレムリン計画」というもの。まずはその概要を、米軍関係筋が解説する。

「計画は2016年に4社が参加して始まり、先日ダイネティクス社と新規実証開発で合意。大型輸送機C-130から少なくとも4機の無人機を飛ばし、回収するという試験飛行が来年には実現しそうです。アリゾナ州・ユマ空港ですでに行なわれたデモ機実験では、30分で無人機の回収に成功したといわれています」

いうなれば、有人機が無人機を運用する「空中空母」になるということ。計画の具体的なコンセプトは以下のようなものだ。

●母機となる戦闘機や輸送機の主翼下、もしくは爆撃機なら爆弾倉などから無人機を投下・発進。C-130輸送機ならば貨物庫からアームを伸ばし、無人機をつかむことで回収が可能。

●無人機は1機当たり約50万ドルの「グレムリン」。最大300カイリ(約560km)進出した先で1時間ほど滞空し、帰還する。カメラやセンサー類を搭載し、無人機同士および基地とリアルタイムでデータ共有を行なう。

●電波受信や電波妨害も可能で、150ポンド(約68kg)までなら武器も搭載可能。

●回収した後は整備し、24時間以内に再び投入できる。20回は使用する。

●将来的にはAI(人工知能)のアルゴリズム技術を応用し、有人機に乗るひとりの操縦者が何機もの無人機をコントロールできるようにする。

では、その空中空母に搭載される無人機はどのくらいのサイズで、どんな役割を担うことになるのか? 軍事評論家の嶋田久典氏が予測する。

「条件を見る限り、サイズ的には高速無人標的機チャカMQM-74Eに近い規模との印象を受けます(同機は全長3.95m、全幅1.76m)。ミサイルなどの本格的な攻撃用兵装を積むのは無理なので、一番の使い道は、有人機で突っ込むにはハイリスクな濃密な敵の防空網のなかで、広範囲にわたり偵察・索敵活動を行なうことでしょう。

中国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略に代表されるように、最近はステルス機であっても、敵の勢力圏内に入り込んで敵情を探るのは困難です。かといって、偵察衛星は解像度が粗く、作戦を判断する決め手にならない。こうしたときに無人機を先兵として乗り込ませ、敵領域内を探り、それを基にじっくり計画を練るわけです。また、無人機に簡素な対空レーダーを搭載し、有人戦闘機のレーダーとリンクして、レーダーの覆域を拡大するといった使い方も考えられます」

◆日本でも将来的には空中空母の構想が…この続きは、『週刊プレイボーイ』24号(5月28日発売)「米軍の最新兵器『空中空母』が間もなく実用化ってマジ!?」にてお読みください。

(協力/世良光弘 写真/DARPA)