不誠実な国会答弁を連発する安倍政権。いつの間にか、このスタイルには「ご飯論法」なんて名前もついていた。
ということで、2018年上半期に限定して首相や閣僚の該当発言を集めたら......出るわ出るわ。このまま安倍首相に3選目を任せて大丈夫?
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「ご飯論法」という言葉が注目されている。
意図的に"論点ずらし"や"はぐらかし"をして国会での質問にきちんと答えない安倍政権の答弁手法のことだ。
この言葉の命名者である漫画評論家・ブロガーの紙屋高雪氏がこう説明する。
「上西充子(みつこ)法政大学教授がツイッターで、安倍政権のでたらめな国会答弁ぶりを『朝ごはん食べた?』という質問への回答を例に挙げて上手に説明していたんです。
ちょうど国会での佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問を聞いて、『なんだ、このはぐらかしぶりは?』と愕然(がくぜん)としていたこともあって、上西教授の説明をもとに『佐川氏の答弁はご飯論法』だとツイートしたら、いつの間にかこの名前がネット上で定着していました」
ではあらためて、「ご飯論法」を発案した上西教授に、安倍政権の答弁ぶりについて聞いてみよう。
「明らかなウソは言わないけど、本当のことも言わない。それでいて、ちゃんと答弁しているかのように錯覚させてしまう。国会の質疑がそんな"騙(だま)した者勝ち"のようになっていることを多くの人に知ってほしくて、『ご飯論法』をひねり出してみたんです」
確かに今の安倍政権の国会答弁は「ご飯論法」のオンパレードだ。
例えば今年2月20日の衆議院予算委員会。裁量労働制のデータ捏造(ねつぞう)疑惑の追及に立った立憲民主党の長妻昭代表代行が「(厚労省の)忖度があったのでは?」と質問したときのこと。安倍首相の答弁は「私や私のスタッフが指示したことはない」というものだった。
「長妻議員は忖度の有無を聞いているのに、首相は自分で勝手に『指示』に限定し、『それはしていない。だから問題ない』と、追及をかわそうとしました」(上西教授)
つい最近も安倍首相は記者の追及を「ご飯論法」でかわしている。
現在、安倍首相は日朝首脳会談の実現に意欲を燃やしている。シンガポールでの米朝首脳会談で、トランプ大統領が安倍首相の要請を受け入れ、金正恩(キム・ジョンウン)委員長に「拉致問題を解決したほうがいい」と口添えしてくれたとされているためだ。全国紙政治部デスクがこう話す。
「これまで圧力路線一辺倒だった安倍政権に、北朝鮮とのパイプはないも同然。そのため、記者たちが会談実現の可能性を尋ねたんですが、首相はその問いは無視して、『拉致問題は日朝の問題だ。主体的に責任を持って解決しないといけない』と答えたんです。
勇ましく、いかにも拉致問題の解決に向けて奮闘しているかのように見せながら、そのために必要な金委員長との会談の実現可能性についてはスルー。これも聞かれたことに答えず、相手を丸め込もうとする『ご飯論法』の典型といえますね」
ただ、「ご飯論法」のような騙しのテクニックは安倍政権の専売特許ではない。過去の歴代政権や官僚らもしばしば使ってきたものだ。ただ、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう指摘する。
「『ご飯論法』のような追及かわしの答弁手法は昔からありましたが、安倍首相を筆頭にこれだけ多用する政権は珍しい。だから、とても目立つんです。
その背景にあるのは、安倍一強のおごりでしょう。これまでの政権はへたに『ご飯論法』を繰り出すと、批判を浴びてすぐに体制は立ち行かなくなってしまう。でも、安倍政権は森友・加計スキャンダルでも支持率がさほど落ちなかった。安倍一強は揺るがないというおごりが、聞かれたらまずい質問には『ご飯論法』でやりすごしてしまえという国会・国民軽視の姿勢につながっているのだと思います」
元官僚の古賀茂明氏は「安倍首相のキャラも影響している」と言う。
「政治家や官僚が『ご飯論法』を駆使するときは普通、もう少し精緻なレトリックを用意するものです。ところが、首相は子供にでもバレてしまうような稚拙なレトリックの答弁を繰り返してしまう。
その意味で、首相の『ご飯論法』は"わかりやすい"。そして、非を認めたがらず、なんでも強硬に言い切ってしまいたい。そんな首相のキャラが『ご飯論法』を目立たせる一因になっていると考えています」
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