『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、相次ぐ原発関連の"ビッグニュース"に隠された経産省の策略を暴く。

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経産省と原発ムラの動きが慌ただしい。

12月1日付の東京新聞が「経産省が新小型原発の開発に乗り出した」と伝えたと思ったら、今度は翌2日付の読売新聞が「経産省、原子力ベンチャー育成...次世代炉開発へ」という見出しで、政府が民間企業に財政支援を行なう方針を打ち出したという報道があった。

もちろん、経産省が書かせた記事だ。経産省はこれに合わせて、3日、高速炉開発に向けた「戦略ロードマップ」の骨子を発表した。なぜ、原発関連の"ビッグニュース"が矢継ぎ早に流れたのか? 

経産省は2016年に廃炉が決定した「もんじゅ」に代わり、フランスのナトリウム冷却実証炉「アストリッド」を高速炉開発の柱に位置づけてきた。総額数千億から1兆円の巨大プロジェクトだ。

その狙いは2点。(1)増える一方の使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルを死守すること、(2)「もんじゅ」失敗の責任を文科省に押しつけ、核燃料サイクルという巨大利権を経産省でひとり占めすること、である。

ところが今年6月、フランス政府が「アストリッド」の計画縮小を日本政府に示した。技術開発が困難で、たとえ実用化にこぎ着けたとしても巨額の建設費がかかるからだ。

経産省は、19年までの「アストリッド」計画の費用として、200億円の予算をコミットし、18年度は51億円の予算を参加する日本企業などにばらまいている。このお金は国民の血税だが、経産省の役人にすれば、自分が好きに差配できる予算であり、利権だ。

このまま「アストリッド」プロジェクトが19年で終われば、20年以降、関連予算は不要となる。つまり、将来大きく膨らむ経産省の予算に"穴"があき、その分、省としての権限や利権が小さくなってしまうのだ。

実は、「アストリッド」計画凍結はこの春にはわかっていた。

しかし、高速炉は核のゴミを再利用する核燃料サイクルの肝である。その存在は、原発政策の前提であり、それを失えば、原発維持は難しくなる。そのため、経産省は公表を先延ばしして、その間に「アストリッド」に代わる「夢のプロジェクト」を物色していた。

しかし、もともと高速炉は実現の可能性が極めて疑わしい"しろもの"だ。結局、抽象的な「戦略ロードマップ」の骨子を示すことしかできなかった。

このままでは大事な原発予算が削られ、原発の存続にも黄信号がともる。そこで世の中に「原発は夢のあるエネルギーだ」とアピールし、原発関連の研究開発予算を守るため、「小型原発開発」「原子力ベンチャー育成」というニュースを次々にリークしたのだろう。

12月は来年度の予算編成がある。「アストリッド」の穴埋めになる予算のネタをそろえたわけだ。つまり、予算維持のつなぎである。これから5年程度のうちに「アストリッド」に代わる本格的なビッグプロジェクトを浮上させる。それが経産省のたくらみだ。

国際エネルギー機関(IEA)によると、原発の新設投資は17年に約1兆円で、16年比で7割減。再生可能エネルギーに比べてコスト高だからだ。 

なのに、経産省の利権維持と核武装に必要な原発技術維持のためにさらに巨額の予算をつぎ込もうとする日本。このままでは時代に取り残されるだけだ。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

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