先の参議院議員選挙で、比例区史上最多の99万票を獲得しながら落選した、れいわ新選組の山本太郎代表。ところが、ライバル関係にある与党の議員からは、なぜか「太郎だけは当選してほしかった......」という嘆きの声が続出しているという。
自民党関係者はこう言う。
「参院選直後の会見で、山本代表は次の衆院選に出馬すると明言しました。今最も勢いのある政治家といっていい彼が万が一、自分の選挙区に来てしまったらヤバい......と、今から自公の衆院議員たちは戦々恐々としているんです」
山本代表が前回(2013年)の参院選で当選したのは東京選挙区。この地盤を生かし、衆院選でも東京都内の小選挙区から出馬するとすれば、いったいどこを選ぶ?
自民党の某衆院議員秘書はこう語る。
「山本代表に東京3区や12区から出馬されたらお手上げです。3区選出の石原宏高議員は石原慎太郎元都知事を父、石原派領袖(りょうしゅう)の伸晃(のぶてる)氏を兄に持つ"サラブレッド"ながら、選挙に弱いことで有名(苦笑)。
一方、12区では長年議席を守ってきた公明党・太田昭宏元国交大臣の不出馬が決まっており、代わりに立候補するのは知名度の低い岡本三成前外務政務官(衆院3期、比例北関東ブロック選出)。どちらも勝ち目はありません」
一方、前出の自民党関係者はこう予測する。
「"劇場型"の山本代表だけに、当選確実な選挙区ではなく、あえて強力な与党現職、それも安倍首相の側近がいる選挙区から出馬するのでは? 例えば、下村博文(はくぶん)元文科大臣の11区、萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行の24区などに乗り込み、ガチンコ勝負で当選すれば、安倍政権に与えるダメージは計り知れません」
だが、もっと大胆な予想もある。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「党代表である自身の当選より、『特定枠』を利用して身体に障害のあるふたりの候補の当選を優先させた先の参院選のように、永田町の常識にとらわれず行動するのが山本太郎という政治家。それだけに、次の衆院選ではもともとの地盤で当選確率の高い東京ではなく、別の地方の選挙区から出馬することも十分にありえるでしょう」
鈴木氏によれば、山本代表の目標は自身の当選ではなく、野党を統一して自公から政権を奪取することだという。
「そう考えれば、自分が出馬することで野党統一が促進され、政権をかけた一騎打ちの構図ができるような象徴的な選挙区から出馬するのではないかと私は予想します。
例えば、安倍首相自身の地元である山口4区、誰もが将来の首相候補と認める小泉進次郎議員の神奈川11区などは、その条件に当てはまります。自らが自民党の"顔"と戦うことで政権奪取のチャンスが生まれるとなれば、迷わずそれを選ぶでしょう」
選挙区で勝負をかけ、もし敗れたとしても、比例代表で重複立候補し復活当選に"保険"をかけておく手もある。
参院選の落選後、山本代表はツイッターで、議員宿舎から7日以内に引っ越さなければならないという事情を明かし、こう書き込んだ。
「44歳、無職、ホームレス、頑張るぞ!」
やはり"劇場型"。衆院選でも台風の目になりそうだ。