『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、今回の内閣改造について語る。(*本記事は『週刊プレイボーイ38号』[9月9日発売]に掲載したものです)

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9月11日予定の内閣改造と自民党役員人事を前に、永田町はにわかに騒がしくなっている。

すでに安倍首相は麻生太郎財務相、菅義偉(よしひで)官房長官の留任の意向を固めたとされ、また、最大の注目点となっていた党ナンバー2の二階俊博幹事長についても「留任で調整」と報じられている。

報道のとおり安倍政権の土台がほぼ継続ということになれば、世の中の関心は直近の世論調査(日本経済新聞実施)で、「次の首相になってほしい政治家」として、断トツのトップに躍り出た小泉進次郎衆院議員の入閣などに移っていくのだろう。

が、私自身の関心は別のところにある。それは河野太郎外相の去就だ。

報道によれば、首相周辺では河野外相の後任に日米貿易交渉を担ってきた茂木敏充経済再生担当大臣を充てる案が急浮上しているという。

私が河野外相に注目するのは、河野氏が閣外に出て独自色を打ち出せるようになれば、ポスト安倍レースが一気に活発化すると予想しているからだ。何せ河野外相は根っからの脱原発派として知られ、過去には自衛隊のイラク派遣反対を主張するなど、党内では「異端児」と目されてきた。安倍首相が後ろ向きな規制改革や行政改革にも熱心なことで有名だ。

今でこそ閣内一致の原則を守り、持論を封じて外相の職務に徹しているが、閣外に去って安倍政権とはひと味もふた味も違う政策を打ち出せば、河野外相は間違いなく魅力的な総理・総裁候補となる。

入閣後に変節したとの批判もあるが、ある筋によると「本人は『河野外相は脱原発政策を捨てた』と批判した新聞記事に、『俺が脱原発を捨てるはずないだろう!』と怒っていた」という。

これまで何度も総裁選に挑戦してきた石破茂元防衛相も最近は手詰まり感が出てきた。岸田文雄党政調会長も先の参院選で自派閥候補が大量落選して、求心力はガタ落ちだ。初の女性首相候補の野田聖子元総務大臣も最近は話題に上ることがなくなり、旬を過ぎた感がある。

この3人のほかにも額賀(ぬかが)派の総理候補である茂木経済再生相、首相の腰巾着として頭角を現した加藤勝信党総務会長らの名前が挙がるが、彼らは安倍首相に媚びて出世する路線を取っているので、自ら進んで独自路線を出すことはない。

「令和おじさん」として総理候補に挙げられるようになった菅官房長官、"クリステル人気"の上乗せで飛ぶ鳥を落とす勢いの小泉進次郎衆院議員らも安倍首相に逆らう政策など打ち出せるはずがない。

しかし、仮に河野外相が閣外に出て、独自政策を掲げてポスト安倍レースに参戦すれば、これらの候補たちもこれに対抗して、総裁選への動きを積極化せざるをえなくなる可能性が出てくる。

自民党は長らく安倍一強が続いた弊害で"忖度(そんたく)政治"がはびこり、かつてのような自由闊達(かったつ)な論議が行なわれなくなって久しい。

だが、ポスト安倍レースが本格化すれば、政策議論も活発化するはずだ。それは日本の民主主義にとっても悪いことではない。河野外相には、もし閣外に出たら、ぜひ「猫かぶり」をやめて「異端児」らしい独自色を打ち出してほしい。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

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