自身の父の秘書を務めていた菅首相との関係は深く、側近中の側近と目されていた小此木氏の出馬表明は自民党内でも衝撃 自身の父の秘書を務めていた菅首相との関係は深く、側近中の側近と目されていた小此木氏の出馬表明は自民党内でも衝撃

菅内閣の一角を担う小此木八郎(おこのぎ・はちろう)国家公安委員長が、突如として神奈川・横浜市長選挙(8月22日投開票)への出馬を表明。永田町や地元・横浜でさまざまな風聞が乱れ飛んでいる。

小此木氏は建設大臣などを歴任した故・小此木彦三郎氏の三男で、神奈川3区で当選8回を重ねてきた。菅首相がかつて彦三郎氏の秘書を務めていた縁から、首相の側近議員としても知られる。

自民党関係者はこう語る。

「横浜市は全国有数の政令指定都市ですが、それでもポストとしては市長よりも国務大臣である公安委員長のほうが格上。現役大臣がその座を降りて市長選に出るなど、永田町の常識ではありえません。

しかも小此木さんは出馬に際し、菅首相肝煎(きもい)りのプロジェクトである横浜へのカジノ誘致に反対を表明した。党内では『何が起きたんだ?』と大騒ぎになっています」

疑問に輪をかけたのが、6月22日の出馬表明会見。出馬理由やカジノ反対の真意が聞けるかと思いきや、小此木氏はなぜか「立候補の決意を固めた」と語るのみで、カジノについても「整理次第、発信したい」と言葉少なだった。

唯一はっきりしているのは、市長選出馬は政府や党の意向ではなく、あくまでも小此木氏本人の意思だということ。では、突如としてカジノ反対を打ち出した理由は?

自民党横浜市連関係者は「あの歯切れが悪い会見では何もわからないが......」と嘆きつつ、こう推測する。

「ひとつは、あくまでも目的は当選であって、カジノ反対はその手段にすぎないという説。反対署名が19万筆も集まるなど、市民のカジノに対する嫌悪感が根強いなか、野党にカジノ反対で候補を一本化されたら選挙は厳しくなる。そこで、小此木さんはあえてカジノ反対を表明し、その是非を争点から外すことを狙ったとの見方です」

もうひとつ有力なのは、小此木氏の父の代からの最大の支援者である横浜政財界のドン、藤木幸夫横浜港運協会前会長に対する"懐柔策"という説。同協会関係者が言う。

「小此木さんの話をよく聞くと、『カジノに反対』ではなく、立地予定地の『山下ふ頭への誘致に反対』なんです。山下ふ頭へのカジノ誘致に猛反対している藤木さんへの恐れや遠慮から、この方針を打ち出したのかもしれません」

そして、この出馬はカジノ招致レースにどう影響するのか? 現在、日本へのカジノ導入第1弾の最大3枠に対し、横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県の4地域が国への指定申請に備えている。国際カジノ研究所の木曽 崇所長はこう語る。

「国への申請の最終権限は各自治体の長にある。もし小此木さんがカジノ反対を公約して市長になれば、申請をストップさせることは可能です。大阪と共に有力候補だった横浜が招致レースから離脱すれば、残る1枠を争っていた和歌山、長崎は選定条件さえ満たせば3枠に滑り込めます」

この横浜市長選には、小此木氏に続いて横浜DeNAベイスターズ元社長の池田純氏も出馬を取り沙汰されている。カジノ容認派の現職・林 文子市長の動向も含め、まだまだ先が読めない。

ちなみに、和歌山は二階俊博自民党幹事長の地元。先行きを一番気にかけているのは二階さんだったりして......。

*おわびと訂正(7月2日)
7月1日にアップされた本記事の「横浜DeNAベイスターズ元社長の池田純氏も出馬を表明」という記述は誤りでした。この箇所を「横浜DeNAベイスターズ元社長の池田純氏も出馬を取り沙汰されている」に訂正し、おわびします。