3月13日に配信し好評だった本サイト記事「日本は軍用機112機、艦船26隻を損失――。台湾有事ウォーゲーム『自衛隊大損害シナリオ』は現実となるのか!? 」。このウォーゲームのシナリオでは米空母2隻が撃沈したが、長崎・佐世保に根拠地を置く、米海軍海兵隊を乗せる米海軍上陸艦隊は必要がないのか、何故か登場していなかった。
するとその後、この記事に登場した米海軍海兵隊を専門に研究する政治学者・北村淳博士から続報が入った。
「先ほど海兵隊と海軍から連絡があったのですが、米海軍の水陸両用艦の稼働率がついに32%という史上最低記録を打ち出してしまったとのことです。
この酷い状況ですと緊急出動は困難で、昨年2月のウクライナ戦争勃発時には水陸両用艦の準備が遅れ、海兵隊の出動は遅延。先月のトルコ大地震の際には水陸両用艦が用意できず、海兵隊は出動できませんでした。中国軍の笑い声が聞こえてきそうです」
通常、米海軍の稼働率はどれくらいのものなのか?
「70%は維持したいというところです。米海軍当局は80%を目標に掲げていますが、過去10年間の平均は50%を切っています
現在の米海軍造船所のレベルですと50%を突破するのがやっとです。これは米海軍造船所の機材全てが老巧化し、熟練技術者も欠乏し、そこにトランプ時代の新造艦建艦作業が加わり、メンテナンスまで手が回らないことが原因です」
であれば、仮に台湾有事で米海軍佐世保基地の強襲揚陸艦が使えず、太平洋を越えたサンディエゴ基地から来航も不可能となると、米国東海岸ノーフォーク基地からの発進となる。
「有事の際、米海軍はパナマ運河を使いません。アフリカ大陸の喜望峰周りか、南米大陸のマゼラン海峡経由となります。強襲揚陸艦隊が東京湾に到着するのは米海軍の見積もりだと40日はかかるようです」
先の特集で<米軍と自衛隊が参戦して防衛作戦を2~4週間続行し、侵攻は失敗に終わる>と書いたように、戦争は終わっているのだ。
「自衛隊参戦の場合、中国は各種ミサイルによる飽和攻撃を、発電所、石油備蓄基地、浄水所、港湾・航空施設に実施します。2週間も続けば日米同盟は崩壊状態に陥り、米艦隊が東海岸から到着する頃には日本の国民は電気・水・食糧に困窮した状態に陥ってます」
沖縄の米海兵隊は今や「沿岸連隊」となり、重要な任務がある。各離島に中国軍より早く、地対空地対艦ミサイルを携えて迅速に展開するためには艦艇が必要。米海軍佐世保基地には強襲揚陸艦の他に揚陸艦5隻がいる。32%稼働率ならば、1.6隻しか動けないのか。
「心配ありません。横須賀、佐世保の米第七艦隊のメンテナンスは日本企業が請負っており、極めて稼働率が高いです。佐世保の水陸両用艦は常時3隻、即応態勢を維持しています」
ならば、米海兵沿岸連隊は台湾有事には即応可能で安心だ。だがもし、台湾有事と同時に「半島有事」となった場合、32%の稼働率とは米海軍にとってどうなのか。
「完全に致命的です。第七艦隊の艦艇だけでは対応できず、各基地から艦艇を集めなければなりません」
となると、海自揚陸艦部隊に陸自水陸両団を載せ、米海軍米海兵隊の増援で防衛出動となるのだろうか?
「半島有事での米海兵隊・米陸軍増強のために、米韓支配地域、及び、北朝鮮軍の弱体な地域に上陸作戦を実行するでしょう。北朝鮮軍の側背を突く困難な強襲上陸は、韓国の海兵隊が担当です。この時、米司令部は勇敢なる自衛隊も北朝鮮軍側面攻撃のために投入するかもしれません」
いま、日韓のシャトル外交も復活し、米韓日三国同盟はさらに深化していくだろう。