山口4区で出馬予定の（左から）有田芳生（ありたよしふ・立憲民主党・新・71歳、ジャーナリスト、前参議院議員）と吉田真次（よしだしんじ・自民党・新・38歳、元下関市議）
統一地方選に関心が向けられるなか、4月23日に投開票される山口2区と4区の衆議院補欠選挙も注目されている。
山口2区は、前防衛大臣・岸信夫氏の議員辞職によるもので、山口4区（下関市など）は、安倍晋三元首相の死去によるものだ。ジャーナリスト横田一氏が4区から解説する。
「次回の衆院選から山口の選挙区は4から3に減区されます。これが、4区の補選に大きな影響を与えています。
現在の山口3区から選出されている林芳正外相は、減区後に下関市を含む"新3区"からの出馬を狙っています。
この地域では、安倍晋三氏の父・安倍晋太郎氏と林芳正氏の父・林義郎氏の時代から、安倍派と林派はライバル関係にありました。新3区となる下関市の市議会も安倍派と林派で完全に分かれています。
4区の補選に出馬するのは、安倍昭恵氏らが擁立した前下関市議の吉田真次（よしだしんじ）氏です。
もし吉田候補が4区で勝てば、次回の衆院選では林氏か吉田氏のどちらかが比例に回ることになるでしょう。しかし、野党の候補が勝利すれば、新3区からの出馬は林氏ですんなりと決まるのです。
そのため林派は、表向きは安倍派と一緒に全力で選挙活動をするふりをしながら、実際は熱心に動かない可能性やこっそり野党候補に票を回すことも考えられます。
野党が弱い選挙区ですが、安倍派と林派の票は拮抗（きっこう）しているので、その一部でも野党候補に回れば逆転勝利の可能性が出てきます。
しかも、野党候補は知名度の高い前参議院議員でジャーナリストの有田芳生（ありたよしふ）氏です。有田氏は統一教会問題を争点にすると言っているので、追い風も吹くでしょう。
山口4区は波乱の選挙になると思います」
山口2区で出馬予定の（左から）岸信千世（きしのぶちよ・自民党・新・31歳、元議員秘書、元テレビ局員）と平岡秀夫（ひらおかひでお・無所属・新・69歳、弁護士、元衆議院議員、元法務大臣）
では、山口2区はどうなるのか。自民党は岸信夫氏の長男・岸信千世（きしのぶちよ）を公認候補としている。
「岸信千世氏は、今年2月に自身のホームページに家系図を載せて炎上しました。しかも、男性しか載っていなかったため、女性から反発を受けて女性票が相手候補に流れる可能性があります。
また、その家系図はその後削除されましたが、今度はホームページを見るときに個人情報の入力が必要だったため、批判をまた受けました。これは大きな痛手です。現在、このホームページは真っ白な状態になっています（3月30日時点）。
一方、野党は統一候補として、元法務大臣の平岡秀夫（ひらおかひでお）氏が立候補し活動を開始しています。
山口は2区も4区も野党統一候補となったため『連携して統一教会問題を取り上げましょう』ということにもなっています。
岸信夫氏は旧統一教会から選挙支援を受けたことを認めているので、息子の信千世氏の選挙にも少なからず影響はあると思います」
山口2区と4区の補選は、統一地方選とともに注目だ。