都知事選に立候補表明した小池氏 都知事選に立候補表明した小池氏

都知事選に立候補表明し、3選を目指す小池百合子氏。今回はどんな公約を掲げるのか? そして、それは実現できるのか? この8年間の仕事ぶりを振り返ってみた!

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■実現した公約はかなり少ない!

6月5日の東京都議会第2回定例会で、立憲民主党の中田たかし議員は小池百合子東京都知事に〝7つのゼロ〟の公約について質問した。

●「『待機児童ゼロ』について。現状の待機児童数は286人で、この中には認可保育所(国の基準をクリアした施設)に入りたいが認証保育所(都が独自に設けた基準の施設)などに預けざるをえない児童が含まれていない」

●「『介護離職ゼロ』について。介護離職者数は1万4000人で、都知事の就任時の8200人より悪化した」

●「『残業ゼロ』について。都庁から先行実施するとしたが、令和4年度(2022年度)の都庁の月平均のひとり当たりの残業時間は26.5時間で、就任時より4.4時間増加している」

●「『都道の電柱ゼロ』について。7年間で8%しか進捗がない」

●「『満員電車ゼロ』について。現状、満員電車ゼロとはいえない状況。2階建て電車導入促進はどうなったのか」

●「『ペット殺処分ゼロ』について。ペットの致死処分は行なっている。昨年は200頭を超えている。攻撃性があるという判断で致死処分されているのは正しいのか」

(●『多摩格差ゼロ』については、ほかの議員に質問を譲った)

ジャーナリストの横田 一氏が語る。

「中田議員が『7つの公約が実現できていないではないか』という質問をしたら、小池都知事はなんと答弁を拒否したんです。代わりに都の幹部が『取り組みを進めています』などと答えていました。

しかも、答弁はしないのにやじは飛ばしていた。だから、中田議員が『やじを飛ばすなら、まず答弁に立ち答えてください』と話していました。こうした態度を見ていると、もう公約を果たす気がないんじゃないかと思います。

小池都知事は、17年に『築地は守る。豊洲は生かす』と記者会見で発表しました。豊洲に一時的に市場を移転し、その間に築地を食のテーマパーク機能を持った新たな市場に再開発する。5年後をめどに築地に復帰可能と説明しています。しかし、今はその気配すらありません。

また、同年の記者会見では『情報公開は一丁目一番地。都政を見える化、透明化する』と言っていました。しかし、情報開示請求をしても出てくる文書は非開示の黒塗り部分が多い〝のり弁〟状態。黒塗りを批判されたからなのか、最近は〝白塗り〟になっています。

東京五輪も、最初は『開催費用にメスを入れる』と言っていた。招致段階で約7300億円だった費用が約2兆円まで膨れ上がりそうになると『1兆、2兆、3兆と、お豆腐屋さんじゃない』と息巻いていましたが、結局『海の森水上競技場』や『カヌー・スラロームセンター』などの施設を新しく造るというムダ使いの方向に走ってしまった。

本人は、東京五輪は大成功だとアピールしていますが、巨額の赤字が出ていますし、談合事件の検証もされていません。

そもそも、コロナ禍で五輪を開催すると医療関係者の負担がさらに重くなるので、医療関係者から『中止か再延期してほしい』という声が出ていたのに、それを無視して強行するというのは、いかがなものだったのでしょうか」

2016年の都知事選で築地市場を視察する小池都知事。この後「築地は守る」と言ったが、その約束は守られなかった 2016年の都知事選で築地市場を視察する小池都知事。この後「築地は守る」と言ったが、その約束は守られなかった

2020年、新型コロナ感染拡大防止のため、街頭ビジョンで「3密」や「外出自粛」を訴える小池都知事。「ステイホーム」が流行語になった 2020年、新型コロナ感染拡大防止のため、街頭ビジョンで「3密」や「外出自粛」を訴える小池都知事。「ステイホーム」が流行語になった

2021年、東京五輪の閉会式で着物姿で五輪旗を振る小池都知事。東京五輪は1年延期・無観客での開催となった 2021年、東京五輪の閉会式で着物姿で五輪旗を振る小池都知事。東京五輪は1年延期・無観客での開催となった

「革新都政をつくる会」の中山 伸氏はどう見ているのか。

「小池都政の評価は、地方自治法で定められている『地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とする』ということを基準に考えられると思います。

衣食住は生活の基本ですが、東京都は新規の都営住宅を造っていません。ゼロです。住むところがないと職を得ることが難しい。例えば、派遣切りに遭って住んでいた寮から追い出されると、住むところがなくなって路上生活になってしまうケースがあります。そうなると仕事がさらに見つからなくなります。

また、障害者の福祉手当も27年間で1円も上がっていないのです。弱者の視点が足りないのです。

私立を含むすべての高校や都立大学の授業料実質無償化や公立小中学校の給食無償化、18歳以下の都民に月5000円の支給など、ある程度評価できる政策もありますが、これは子供の貧困問題などが起きて、住民運動が起こり、世論が高まって条例化されたんだと思います。

しかし、例えば公立小中学校の給食無償化についていえば、都の負担は2分の1なんです。もう2分の1は各区市町村が負担しなければいけません。すると、財源があるところは無償化できるけれども、財源がないところは無償化は難しい。多摩地区は無償化になっていないところが多いんじゃないでしょうか。

また、高校や都立大学の授業料無償化についても、東京に住んでいる学生は無償だけれども、東京に住んでいない学生は有償です。同じクラスの中に有償者と無償者がいるというのは、ちょっとおかしい気がします。

都庁のプロジェクションマッピングも、海外から来た人にアンケートを取ったら『昼間は行くところがあるけれども、夜になると行くところがあまりない』ということで実施されたと聞いています。

2年間で約48億円というお金の使い方もそうですが、光の当て方も違うと思います。都庁に当てるのではなく、もっと足元に当ててほしい。新宿都庁下のスペースでは、NPOが毎週、生活困窮者向けに無料で食事を提供しています。そこには約700人が食事を求めて来るといいます。そちらにも目を向けてほしいと願っています」

有識者からは小池都政に厳しい評価を下す声が聞こえてきたが、都民はどうなのだろう。

東京に住む18歳から99歳以下の男女500人にアンケートを取ったところ「小池都政を評価する」が48.4%で、「評価しない」が51.6%と拮抗した。

「評価する」の主な理由は「東京五輪を中止でなく延期してでも開催できたこと」「コロナのときに国より早く支援があったこと」などのほかに「高校の授業料無償化。高校生の子供がいるのでありがたい」「東京都が無償でお米を配ったこと」「東京都で生まれた子供に10万円のギフト(育児用品など)がもらえること」「18歳以下の都民に月5000円の支給」など、経済的な政策を支持する意見が多かった。

6月20日告示・7月7日投開票の東京都知事選挙。小池都知事は、どんな公約を掲げるのだろうか。ぜひ注目してみたい。