2月14日といえば、もちろんバレンタインデー! ……なのだが、同時に「煮干(にぼし)の日」でもあることを知っていただろうか?
この「煮干の日」、全国煮干協会というれっきとした団体が制定したもので、実は今年で20周年という伝統ある記念日なのだ。
では、なぜ2月14日が「煮干の日」なのか? 全国煮干協会会長の坂本典壽氏に聞いてみた。
「そりゃあ、もちろん語呂合わせだよ。当時から会長をやっている僕が提案した。そうしたら理事のみんなは大反対。理由は『バレンタインデーと重なるから』。だから言ったんだ、『バレンタインデーだから、いいんじゃないか!』って。世の中に広まらなかったらもともとだし、ひとりでも知ってくれる人がいたら、万々歳だからね」
2(に)1(棒=ぼ)4(し)、ということらしい。
そもそも煮干とはどういうものかというと、捕った小魚を塩茹でし、乾燥させたもの。塩茹でするのは、保存のためと、塩の浸透圧でだしが出ないようにするためだ。よって、主に料理のときにだしをとる材料として使われる。
イワシやアジ、サバ、タイ、トビウオなど、とにかく煮て干した魚はすべて煮干。安いもので1kg350円くらい、そして高級品になる1kg2500円以上する。
ところで、なんのために煮干の日をつくろうと思ったのか?
「今から30年くらい前、煮干しにはBHAという酸化防止剤を使うことが多かった。それが発がん性物質じゃないかということで問題になったんだ。そこで全国煮干協会の会員は自社では使ってないことを知ってもらうためJASマーク(品質規格保証)をつけるようにした。少しでも世間のイメージをよくしたかったんだ。そのときに考えついたのが煮干の日だったんだよ」
この日をきっかけに、煮干のよさをもっとアピールしたいというのが制定の目的だったわけだ。
最後に、坂本会長に良い煮干しの見分け方を聞いた。
「鮮度のいい魚は腹のほうから先に縮むから背中が曲がって、顔が下向きになる。逆に鮮度が落ちると腹が切れるから、背中のほうが反って顔が上を向く」
魚の顔が下向きなのが、鮮度が良かった証(あかし)で、食べるとおいしい。ただし、だしにこだわるなら、10月頃に捕れた卵色した煮干がいいとのこと。
2月14日、街は恋人同士で浮かれているが、「煮干しの日」だと思えば、独り身の男子も寂しさを感じることはない。
(取材/村上隆保)
■週刊プレイボーイ8号「実は今年で制定20周年! 知ってた? 2月14日は煮干の日」より