コンビニ各社が競って発売しているプライベートブランドの高級アイス。寒いこの時期に、売り上げを伸ばしている

20年に一度の大雪が降るほど冷え込んでいる今冬、なぜかコンビニの高級アイスがヒットしているという。

そのアイスとはコンビニ各社のPB(プライベートブランド)で、1個200円~400円以上。コンビニアイスの定番、「ガリガリ君」や「明治エッセル スーパーカップ」などに比べると、チトお高い。

なぜ各社は競うように高級アイスを展開しているのか? コンビニアイス評論家のアイスマン福留氏に聞いてみた。

「コンビニ高級アイスの口火を切ったのは、2011年にコンビニ限定で販売された冬限定のハーゲンダッツの『オペラ』。420円と、それまでの“常識”を覆(くつがえ)す価格設定でしたが、かなり売れ、翌年も販売されて人気を博しました。

また、2012年にファミリーマートが販売開始した『ジェラート』シリーズ(各250円)の影響も大きいでしょう。こちらはPB商品にもかかわらず、テレビCMをバンバン流すなど宣伝に力を入れたとはいえ、当初予測の5倍も売れた、驚異的ヒットのアイスでしたからね」

これらのヒットを受け、今年に入ってからファミリーマートは「Sweets+」シリーズ(各220円)を販売。セブン・イレブンも「SIO VANILLA」(250円)、ローソンは「KiSS濃厚ミルク&ストロベリー」などの「KiSS」シリーズ(各270円)を販売し始めた。

「コンビニ側としては、アイス売り場を1年中フル回転させたい。その点、濃厚系のアイスは寒い冬のほうがよく売れ、なおかつ氷菓と比べて付加価値をつけやすい。それがプチ贅沢を求める消費者のニーズにハマったのでしょう。

また、売り場のスペースが限られているとはいえ、どこにでも売っているような商品ばかり置くと、消費者に飽きられてしまうという懸念もあった。だから、普通の商品とは違った特別なもの、PBの高級アイスを置いて他社との差別化を図ろうというわけです」(福留氏)

それにしても100円くらいのアイスと、200~400円の高級アイスで、どれほど違いがあるのか?

「やはり素材です。ひと口にアイスといっても、乳脂肪分の比率によってアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスと名称が変わります。高級アイスの大半は、その比率の高いアイスクリームを使っている商品なのです。あとは空気の含有量。少ないほど原材料を多く使う必要があるので、おのずと高価になります」(福留氏)

外は寒いのに、温かい部屋のなかで高級アイスを食べる、こんなプチ贅沢にハマってしまう気も分かる気がする。

(取材/昌谷大介、千葉雄樹[A4studio])

■週刊プレイボーイ9号「マジうま!冬のコンビニ高級アイス選手権!!」より