石原都政時代に行なわれた「歌舞伎町浄化作戦」は、不良外国人の一掃に成功し、暴力団対策法や暴力団排除条例などにより暴力団も大きな打撃を受けた……とされている。

ところが近年、東京では関東連合など“半グレ”と呼ばれる反社会勢力による犯罪事件が後を絶たない。東京都の治安対策は、本当に正しい方向に進んでいるのだろうか?

『東京BREAKING NEWS』編集長の久田将義氏に聞いた。

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表社会があれば裏社会がある。それはいつの時代も変わらない。裏社会を完全に排除することなどできない。

警察キャリアは「暴排条例と暴対法で暴力団が全部なくなることになった」と現場の警察官に言ったそうだ。しかし、実際にはその隙間を縫うように、関東連合や怒羅権(ドラゴン)などの“半グレ”と呼ばれる反社会勢力が暗躍した。振り込め詐欺のような犯罪もまったく減らなかった。

12年9月には「六本木フラワー事件」が起きた。関東連合の関係者が、人違いで一般人を殺害するというとんでもない事件だった。その後、警察行政は“半グレ”を「準暴力団」と規定した。

しかし、準暴力団指定というのはまったくナンセンスだ。暴力団は構成員を把握できるが、“半グレ”は組織があるわけではなく、誰がメンバーなのかもわからない。警察の上層部に対し、「こんな仕事をしていますよ」とアピールするための施策にすぎないと言わざるを得ない。

現在、警視庁は歌舞伎町、六本木、渋谷、池袋で「四都市浄化作戦」を実行しているという。この中で、最近犯罪が増えているのは歌舞伎町でも六本木でもなく、池袋の西口・北口方面だ。さらには都心から離れた八王子や町田といった衛星都市で、「八王子ホスト殺害事件」など、これまでの犯罪の範疇では理解できない事件が起きている。

結局、特定の街や特定のレッテルを貼った対象を取り締まるだけでは、犯罪が違う場所に移動するか地下化するだけだ。都政に求められるのは、裏社会との付き合い方の構築なのではないか。

(構成/頓所直人)

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