ストーカーによる殺人事件が世間を騒がせている昨今。彼らはどこで愛し方を間違い、何をきっかけにそのような犯罪行為に走ったのだろうか?

それを考えるひとつの手がかりとして、“今は冷静になっている”が、過去に犯罪スレスレのストーカー行為に及んだ経験を持つ男性(K氏)の話を聞くことに成功した。

K氏は現在、卸売業を営む32歳。大学時代に年上女性をストーカーした経験を持つ。それは初体験の相手でもあった。

「でも僕、決してモテないわけじゃないんです。学歴も高いですし。ただ、彼女がどうしてもできなかったんですよね。女性ってなんだかんだダメ男が好きじゃないですか。僕はいつも女性の恋愛相談に乗る役になっちゃって。いつもいい人止まりなんです。

その、童貞をささげた3つ年上の女性も、二股しているダメ彼氏の愚痴を居酒屋でいつも朝まで聞いてあげていたんですよ。それで、ある日ついに『彼氏と別れることにする』と宣言して。で、僕とその夜に……。童貞を捨てられたことよりも、やっと彼女ができた!!という喜びが大きかったです」

しかし、後日確認すると「付き合う気はない」という返事。そのショックからK氏は“変貌”する。

K氏が行なったストーカー行為の数々

「僕のセックスがヘタクソだったから嫌われたんだと思い、どれだけたくさんの勉強をしているかというのをアピールするために、見終わったAVを片っ端から彼女の家に送っていました。ほかにも毎月セックスした記念日に花を送っていました。かなり病んでいたんでしょうね。そんな日々が約1年続きました」(K氏)

どうやって、そのストーカー熱は冷めたのか。

「気を紛らわすために、たまたま関係を持った、ほかの女性との間に子供ができて、結婚することになりまして。でもすぐに夫婦関係は崩壊し、今は別居中です」(K氏)

このK氏のエピソードを踏まえ、犯罪心理学者の法政大学・越智啓太教授はこう語る。

「相手をストーカーに走らせる最も危険な別れ方は、プライドを傷つけることです。別れ際に罵倒したり、人間性を否定するなどすると、『裏切られた』ととらえ、冷静さを失った行為に走ってしまうんです。もともとストーカーになりやすい人は見えっ張りでプライドが高い人間が多い傾向にあり注意が必要です」

現在は別居中の奥さんではなく、娘に会いたい一心から、「家の前で監視して、娘がひとりになった瞬間にチャイムを押し、家にあげてもらっている」というK氏。ちなみに越智教授によると、ストーカー気質のある人は、別の人にもストーカー行為を繰り返す傾向があるそうだ。

(取材/黄 孟志)

■週刊プレイボーイ12号「私がストーカー行為に走った危険な別れ方。そこから冷静になった瞬間」より