ストーカーによる犯罪が後を絶たない。

特定の人物に執拗(しつよう)につきまとう行為を行なう人物、ストーカー。日本では1990年代に入ってからこの言葉が使われるようになり、1999年に発生した「桶川ストーカー殺人事件」を機に、翌年「ストーカー規正法」が制定された。

この法律により、一定の抑止力は保たれているものの、民事不介入が原則である警察は、実際に犯罪が起こってからでないと動きにくい。そこがストーカー犯罪が後を絶たない理由でもある。

常軌を逸した行動を繰り返すストーカーだが、彼ら・彼女らも、もちろん最初からストーカーだったわけではない。何らかのきっかけを経て、変貌してしまうのだ。つまり、「自分は決してストーカーなんかにならない」とは、誰もが言い切れないのだ。

実は「ストーカーになりやすい人」には、ある共通点がある。犯罪心理学者の法政大学・越智啓太教授が挙げるのは、以下の「6か条」だ。

一、社会的地位など、ステータスにこだわる ステータスにこだわるのはプライドが高い証(あかし)。女性にフラれると必要以上に重く受け止め、われを失いがち。

二、交際中に何かとルールをつくりたがる 別れた後にストーカー化する人物は交際中も相手を監視したがる。そのため次々と束縛のルールをつくる傾向も。

三、LINEの既読スルーなどが不安で仕方ない 小心者もストーカーになりやすいとのこと。自分より優先する人や物事の存在を感じると相手を疑ってしまう。

ストーカーへの対処法は、やはり警察への通報しかない

四、休暇が多いなど比較的に時間に余裕がある 尾行や張り込みはもちろん、しつこい連絡などのストーカー行為は時間が必要。忙しい人は激化しにくい。

五、自分をよく見せるための嘘をつく 見えっ張りもストーカー気質のひとつ。現実を見ることができないので、別れを受け入れることも苦手。

六、同性の友人が少ない 同性の友人が少ない人間にとって、交際相手は心を開ける数少ない人物。失いたくないという思いが強くなる。

越智氏が、実際にストーカー被害にあった際の対処法を指南する。

「ストーカーをしている最中は一種の混乱状態にあるので、自分を冷静に見つめられないことが多いんです。その点、警察はストーカーの熱を沈静化する術をもっともよく心得ているので、早めの通報が吉です」

少しでも心当たりのある人は、大事になる前に誰かに相談すべきだ。

(取材/黄 孟志)