東京・上野のアメ横(台東区)に実店舗を構えるメンズカジュアルのセレクトショップ「リトルトレジャー」は、自社のネット通販サイトがニセサイトに悪用される被害を受けた。

同社の金子義彰氏が、ため息交じりにこう話す。

「自分たちで撮影した商品画像とそれぞれの商品の説明文を、全商品の8割分ぐらいコピーされて、まったく別の通販サイトを立ち上げられました。しかも、値段は何割も安いんです。例えば、ウチでは12万円で売っているものが4万円となっていました」

ネット上にある写真・文章を無断でコピーして、そのまま別の激安サイトを立ち上げる。そしてお金を振り込ませるだけで、商品は送らない――こうした非常に悪質な詐欺サイトが急増している。

ターゲットになっている商品は何か? 日本通信販売協会消費者相談室の八代修一室長が説明する。

「一番多いのがバッグで、その次は靴・スニーカーです。どれも有名なスポーツブランドのスニーカーで、決して高級な商品ではない。被害者の男女比は男性約60%、女性約40%。意外にも、ブランド物のバッグを買おうとして被害に遭っている男性が多いんです。考えられるのは、女性にブランド物のバッグをプレゼントしようと考え、少しでも安く買おうとして被害に遭ってしまった方では」

ブランド物のバッグの“相場”を知らない男性が、「激安」とダマされてしまうワケだ。八代室長が、日本通信販売協会に寄せられた被害相談内容を分析した結果を教えてくれた。

「サンプリングしたデータは約850件あります。その被害総額は、約1100万円で平均単価にすると約1万3000円というところ。そのうち、一番被害額が大きかったのが、高級なダウンジャケットで有名なブランドのコートで32万円、一方の最少金額は237円のキッチン用のキャニスター(保存容器)でした」

ICPOが動かなければ、詐欺サイトを一掃できない?

わざわざ手間をかけて237円をダマし取る必要があるのか?

「それもニセサイトの特徴といえます。というのも、詐欺グループは、商品のページをそのままコピペするので、高かろうが、安かろうが関係ない。要はお金さえ入ってくればいいということでしょう」(八代氏)

外国人グループによる犯行と見られる、このニセ激安サイト。単なるコピーサイトだけに、色・サイズの選択ボタンが無かったり、支払い方法も銀行振り込みしかなかったり、会社の電話番号も明記されていなかったり、非常にずさんな作りだ。

だが何よりも、「日本語が変」なのが最大の特徴。大阪府警サイバー犯罪対策課が警告する。

「住所を見ると、例えば『品川区東京都』などと住所表示がおかしかったり、運営責任者の名前の名字と名前が逆になっていたりします。もし電話番号が国内のものだったら、まず一度かけてください。そして、ちゃんとしたオペレーターが出るかどうかで判断してほしいですね」

警察がこうしたニセサイトを次々に潰しては、また別なニセサイトが現れる、現状はこの繰り返し。なんとかして、詐欺グループを一網打尽できないのだろうか。

「基本的に彼らはサーバーを海外に置いているので捜査が難しいのです。また、彼らから送られてくるメールを解析したところ、その発信元の大半は中国でした。彼らを逮捕するには、ICPO(国際刑事警察機構)に要請して捜査をしなければいけませんが、実態がつかめていないのでそれも難しい。ですので、消費者の皆さんに注意していただいて、ニセサイトに引っかからないようにしていただくしかないのが実情です」(大阪府警サイバー犯罪対策課)

ダマされる人が減れば減るほど、犯行グループも減っていくはず。「激安 ○○(ブランド名)」と検索する際はご注意を。

(取材・文/頓所直人)