クジラの赤身に片栗粉をまぶしてから一度ゆがくことで出汁が染み込む「ハリハリうどん」

15日、捕鯨議員連盟会長の鈴木俊一衆議院議員(自由民主党)、高木義明衆議院議員(民主党)などを呼びかけ人に、都内で「第26回 捕鯨の伝統と食文化を守る会」が開催され、水産業関係者など600人が集まった。

南極海における日本の調査捕鯨が、3月31日に国際司法裁判所の判決により禁止となったことに対し、出席した鈴木議員や中田宏衆議院議員(日本維新の会)は、捕鯨や鯨食(げいしょく)文化の衰退に危機感を露(あらわ)にした。

登壇した林芳正農林水産大臣も、「大変、失望しています。ただ海に囲まれた日本で、海からたんぱく質を取っていく、持続的に使っていく、この姿勢はゆるぎないものだと申し上げます」と、一部では慎重な意見もある北西太平洋などでの調査捕鯨継続に意欲を示した。

イベントでは、NPO法人「クジラ食文化を守る会」会長・小泉武夫氏の「ホエ~ル!」の掛け声で乾杯が行なわれた後、鯨料理の実食へ。

大阪名物「ハリハリ鍋」をアレンジした『徳家』の「ハリハリうどん」を食べた女性は「鯨の肉があっさりしていて驚いた。昔は臭くて好きじゃなかったのにおいしい。プルッとしたサエズリ(舌)も食感がいいですね」と絶賛。

クジラの竜田揚げやカルパッチョなど。刺身だけでも、赤肉や皮、ベーコン、心臓、百尋(ひゃくひろ・小腸)と種類もさまざま

記者も他の鯨料理を食べてみると、サクッとした衣の「くじらカツむすび」は独特の風味を残した鯨の肉とソースが相まって食欲をそそる味わい。和歌山の太子町が出品した「茹で畝須(うねす)酢味噌かけ」はつるっとした舌触りで柔らかく、お酒のつまみにピッタリ。東京・神田の『くじらのお宿一乃谷』が提供した「くじらステーキ」もジューシーながらも油がなく、あっさりした味わいだった。

そのほか、釧路市の名物「くじら汁」、日本一鯨を消費するという長崎からは「湯かけ鯨」や「鯨(げい)ジャガ」など、全国各地の飲食店や地域から20種類を超えるクジラ料理が集まった。

縄文時代からクジラとともに生きてきた日本人。国際的な声に耳を傾けながら、同時に捕鯨・鯨食という日本の伝統・文化を守っていくことも重要である。

(取材・文・撮影/鯨井隆正)