ガングロ肌にメッシュヘア、ヘソ出しルックで21世紀初頭に一世を風靡したギャル&ギャル男が、絶滅の危機に陥っている。
昨年10月の『men’s egg』(大洋図書)に続き、今年2月にはお姉ギャル系雑誌『EDGE STYLE』(双葉社)が休刊。4月15日には『小悪魔ageha』『Happie nuts』といったお姉ギャル系雑誌を擁するインフォレストが、約30億円の負債を抱えて事業停止となり、最新号が発売延期となっている。
そしてついに、95年の創刊以来、ブームを牽引してきた『egg』までもが、5月31日発売号をもって休刊することが発表された。
ギャル系雑誌編集者として10年来、渋谷カルチャーに携わってきたT氏がこう語る。
「ギャル系雑誌は『Popteen』(角川春樹事務所)、『Ranzuki』(ぶんか社)がまだ奮闘していますが、いずれも全盛期から比べて発行部数が激減しているのは事実。『egg』は最終的に実売部数が5万部ほどまで落ち込んでいたという噂ですから、相当厳しかったんでしょう。『小悪魔ageha』は他社へ売却され、存続するという噂を耳にしましたが、最盛期の勢いを取り戻すのは不可能だと思います」
かつては渋谷はもちろんのこと、日本全国どこでも見かけたギャル。今はどこにいるのだろうか? T氏が続ける。
「そもそもカルチャーの象徴であったガングロギャルが、ほぼ絶滅していますからね。『egg』の読者モデルでさえ、黒肌なコは現在ではひとりふたりしかいない。笑い話ではないですが、ギャル系AV女優さんのほうがよっぽど正統派なガングロギャルのルックスを継承してますよ(笑)」
女のコの黒肌ブームが去り、同時にギャル男も徐々に減っていった。
昔のギャル&ギャル男は、半分ヤンキーだった
「類似誌はまだありますが、ギャル男業界は『men’s egg』のほぼ独占マーケットでしたから、ギャル業界よりさらに悲惨。2003年頃には男版ヤマンバとも言える“センターGUY”が登場したり、2006年には渋谷の109-2(現・109MEN’S)の中にメンズフロアが誕生したりと、ギャル男にも勢いがあったんですが……」(T氏)
イベサーやギャルサーが活発だった2000年代初頭は1000人、2000人のギャル、ギャル男が一堂に会するクラブイベントなども頻繁に開催されるほどだった。なぜ、激減してしまったのだろうか?
ギャル男系雑誌に長年携わっているフリーカメラマンのK氏が明かす。
「以前はギャル、ギャル男になる層というのは、とにかく目立ちたい半分ヤンキーみたいなコたちが主流だった。で、肌を焼いて派手な服装で渋谷に行けば同じような人種の仲間が増えるし、地元で一目置かれる存在にもなれる。つまり、そうやって“渋谷の人間”になって注目を集めるのが当時のステータスだったんだよね。
でも、これは私見だけど、ゆとり教育の影響のせいなのか、最近のコは人より目立ちたいっていう意欲が薄くなってきている。だから、彼らにしたらギャル、ギャル男になる意味もないんだろうね」
ギャル男、コギャル、ヤマンバなど“新種族”を生みながら約20年間、栄華を極めたギャルは、今、希少種として細々と生きながらえている。
■週刊プレイボーイ22号「絶滅寸前!! 渋谷のギャル&ギャル男はどこへ消えた!?」より