日本が世界有数の“森林国”であることをご存知だろうか? その国土の森林率は7割にも及び、フィンランド、スウェーデンに次いで世界第3位を誇っている。

しかし今、そんな日本の森林が危機に瀕しているという——。

日本では戦後の植林事業によって、人工林を中心に森林面積が毎年増加している。林野庁によると、その総蓄積は昭和46年には約20億㎥だったのが、平成24年には49億㎥。40年間で2倍以上に膨れ上がった。

一方で、最近の日本の木材需要量は年間約8千万㎥で推移しているが、その自給率は平成24年でわずか27.9%。毎年、東京ドームにして約65杯分の森林が増加し続けている計算になるのだ。

森林が増えるのは一見良いことに思えるかもしれないが、そうではない。木材の利用が進まなければ、森の手入れに欠かせない間伐もなかなか進まないというのが現状だ。

間伐が行なわれない森林は、土砂崩れを起こしたり、二酸化炭素の吸収能力が減少するほか、病虫害も発生しやすくなる。さらにそうした状況では林業の担い手も減っていき、農山村地域の活力も失われていく。この悪循環をどうしたら脱することができるのか……?

木材利用のさまざまな“メリット”とは?

日本の森林の活性化にとって、木材を積極的に利用することが急務だ。スギやヒノキなどが適切に使われるようになれば、間伐の費用もまかなえ、その結果、森林は整備・保全され、本来の機能を発揮することができる。

林野庁では現在、木材の利用を促進するために「木材利用ポイント」事業を実施している。

これは、住宅を建てたりリフォームする際にスギ、ヒノキ、カラマツなどの対象となる木材を活用したり、木材製品等を購入すると、ポイントが付与されるという事業。ポイント数に応じて地域の農林水産品、農山漁村地域における体験型旅行、商品券などと交換できる。

この事業は、「住宅ローン減税」「すまい給付金」とは異なって所得制限がないため、住宅購入の際の経費節減策としても有効だ。

また、スギやヒノキ、カラマツなどの対象となる木材を利用した木造住宅は、鉄筋コンクリート造住宅などに比べて良い影響があることも研究からわかっている。室内は心地よい香りや湿度、暖かさや柔軟性に富んだ環境が保たれ、リフレッシュ効果や抗菌作用もあるためカラダにとっても優しい。

住宅建築やリフォーム、また家具の買い替えを検討しているなら、この機会にさまざまなメリットのある木材を選んでみてはどうだろうか。

なお、「木材利用ポイント」の付与対象となるのは平成26年9月30日までに工事着手あるいは製品購入したもので、申請期間は来年1月31日まで(条件によって対象期間が異なる)。対象製品や申請の条件など、詳しくは以下のサイトを参照してみてほしい。

【http://mokuzai-points.jp/】