4月11日からずっと守ってきたセ・リーグの首位を、ついに巨人に明け渡してしまった広島カープ。とはいえ例年になく絶好調で、現在Jリーグで2連覇中のサンフレッチェ広島とともに、今、広島県が日本の2大スポーツの中心地になっている。
もともと地方大都市のひとつで、大企業や有名観光地も多く、有名人も多数輩出。メジャーなご当地グルメもたくさんあって、日本人なら大体のイメージは把握できている広島県。
とはいえ、なかには勘違いも? そこで、代表的な“広島県民をめぐる伝説”のウソとホントを検証してみよう。
●広島県民は、ほぼ全員マツダ車に乗っているってホント?
もちろん、そんなことはない。とはいえ、愛知県豊田市におけるトヨタと同じく、広島でのマツダブランドは絶対的な存在であり、超メジャー企業であることは間違いない。しかも、創業家は広島東洋カープの実質的オーナーでもある。
マツダからの税収は広島県も広島市も潤すが、最も恩恵を受けているのはマツダが本社を置く府中町。広島市にぐるっと囲まれながらも、府中町が広島市との合併に応じないのは、マツダからの多額な税収があるからだといわれている。
広島県内でも他県と同じようにトヨタ、日産の車が目立つが、公用車はやはりマツダが圧倒的だ。リーマン・ショックで業績が悪化したマツダを支援しようと、広島県が200台、広島市が120台のマツダ車を購入して話題となったのは2009年のこと。
当時は「マツダからとった税金を、そのまま戻すだけか」と批判されたが、そのかいあってか、今や業績は絶好調だ。
●広島県民は、ものすごいスピードで鶴が折れるってホント?
これは、ほぼホント。小学校、中学校時代、夏になると学校で折るだけでなく、「式典用に100羽折ってきなさい」と先生に言われ、家族総出で折りまくった……なんてことも広島県民に共通する思い出だ。
毎年7月に入ると平和祈念学習の時間が増えるのも、世界で初めて原子爆弾を投下され、今も生活の中で「8月6日」が強く意識されている広島ならでは。8月6日は夏休み中だが登校日だったという学校も、かつては多かったようだ。
式典で歌われる合唱曲『HEIWAの鐘』も広島県民なら全員歌うことができる。また、『さとうきび畑』が大ヒットして一番驚いたのも、沖縄県民ではなく、子供の頃から歌い続けてきた広島県民だった。
広島といえばお好み焼きですが……
●「広島風お好み焼」って言うと、ドツかれるってホント?
広島の人は「お好み焼なしでは生きていけない」と断言してもいいだろう。
もともと“粉もの”好きで、うどんやラーメンを日常的によく食べるが、お好み焼も同じ。ランチにお好み焼というのも当たり前で、昼休みに近くの店で食べたり、テイクアウトしたり、出前でとるなんてことも。
広島県民の多くはなじみのお好み焼店を持ち、仲間とワイワイやるとき、家族でゆっくり過ごすとき、ひとりでサッと食べるときなど、TPOによって店を使い分けている人も多い。
そんな彼らは、自分たちがいつも食べているお好み焼こそ元祖であり、正統派であると信じている。決して、大阪を中心とした“関西風”お好み焼をパクッたわけではないのだ。
それゆえ、「広島風お好み焼」と言われると、あたかも「もともとあった関西風をまねた」と言われているようで、ドツくようなことはないまでも、ムッとするらしい。
最近は、わかりやすく「広島風お好み焼」と書かれた看板を掲げる店も出てきたが、それらは県外からの観光客が集まる所に多いようだ。
(取材/宮崎俊哉、山田美恵、中島大輔)
■週刊プレイボーイ25号「12ページ特集 日本人よ、今こそ広島で盛り上がれ!!」より