2009年8月2日、東京・渋谷の路上で職務質問を受け、覚せい剤所持容疑で現行犯逮捕された高相祐一(たかそう・ゆういち)。人気女優の夫、プロサーファー、DJという立場から奈落の底への転落…。
これまでメディアに対し胸中を語ることはなかったが、今回、酒井法子さんとの関係、薬物依存との闘いを独占告白。
■のりピーとの現在
―事件から5年半。酒井法子さんとは会っているんですか?
高相 いま実家に戻っているんですが、正月に息子と一緒に来て久しぶりに会ったんです。全然変わっていませんでしたね。俺が言うのもなんだけど、相変わらずキレイでした。
未練や後悔がないかって? そんなことを考えても仕方ないですからね。結果として、オレが彼女に覚せい剤を勧めてしまったのだから、自分に責任があると思っています。
―初めてのドラッグはいつ頃だったんですか?
高相 若い頃からやってたんだけど、サーファーの先輩に「吸ってみろ」と言われたのがきっかけ。それから大麻はずっとやっていました。覚せい剤は20歳くらいのときかな。
―酒井さんは、高相さんが薬物にハマっていることを知っていたんですか?
高相 大麻をやってることは、勘づいてたんじゃないかな。覚せい剤は結婚5年目(2003年)くらいにアルミホイルで炙(あぶ)っているところを見つかってしまった。
「何をやっているの?」と聞かれて、返事に困っちゃってね。「元気になるんだ。やってみる?」と言っちゃったんだ。そうしたら、「うん」と。
のりピーからの手紙には…
―そして2009年に、覚せい剤所持で捕まります。
高相 連日使っていたから、捕まる予感というか、そろそろヤバいみたいな感じはありました。逮捕数日前、家族で皆既日食(かいきにっしょく)を見ようと奄美(あまみ)大島(鹿児島県)に行ったときは一番ひどかった。ほとんど眠らないままクスリをやっていました。
東京に戻ってきても眠れない。昂(たか)ぶった気持ちをなんとかしようと普段は行かない渋谷のヘルスに行こうとしていたんだから、普通ではなかったですね。店を予約して、向かっていたところで警官に声をかけられて…。
―ヘルスに行く予定だったんですか…?
高相 その店までもう少しってとこだったんだけど、近くの路地裏で職質を受けちゃって。いつもは覚せい剤を入れた巾着(きんちゃく)袋を黒いひもで同じ色のパンツにつるして隠してたんです。
でも、その日に限って、ひもが蛍光イエローだったからバレちゃった。警官と押し問答になり、法子に電話して、来てもらうことにしました。
―なぜそこに酒井さんを呼び出したんですか?
高相 ふたつ理由があって、まず有名人の法子が来れば、見逃してくれるかもしれないということ。もうひとつは、もし家宅捜索が入ったら彼女に疑いがかからないように家を整理してほしかったからです。
結局、使っていた吸引器具が見つかってしまって、法子も捕まったんだけど。
執行猶予中にも合法ドラッグを
―大変な騒動となって、酒井さんとは離婚になりました。
高相 留置場に届いた彼女からの最後の手紙には「また、親子3人で暮らしたい」と書いてあったんだけどね。でも、判決が出てからしばらくして離婚の話を進めることになりました。そのとき、怒られるかと思ったら、逆に「連絡しないで怒ってる?」と聞かれて、「心配してたよ」って言いました。
CM契約の違約金などで大変なことになっていると聞いていたので、また仕事をしなければならないんだな、離婚も仕方ないな、と思いました。事件は全部オレの責任だから財産は全部渡しました。
―自称“プロサーファー”とか、のりピーのヒモ夫とか報じられていましたけども。
高相 きちんとオレをわかってくれる人はいたので気にはしませんでした。ただ、息子がからかわれたりしてたみたいなんで、それは気になりました。「騒ぎになるから」って小学校の卒業式にも出席できなかったですから、親として残念だった。
―懲役2年、執行猶予4年の判決が出て、執行猶予中に薬物依存症を治す施設であるダルクに入ります。入所していた1年6ヵ月間はどう過ごしていました?
高相 ダルクでは入所者が毎月16万円ほど払って、そこから毎日2000円の小遣いをもらって社会復帰を目指すんです。薬物はもちろん、酒、女、ギャンブルは禁止。ただ、朝昼晩のミーティング以外やることもないんです。
オレは長期入所でダルクの職員になるコースとかも受講していたんですが、薬物に詳しい連中も多いので結構、誘惑も多くて。お金をためて、合法ドラッグも買ったりしてました。当時、合法でいいものが出回るようになっていたんですよ。
―合法ドラッグなら構わないと思ったんですか?
高相 法律違反ではないから…って、そのときは思ってました。処方箋薬とか、いろんな合法の薬物をうまく調合したりしてました。
●【後編】⇒『薬物治療生活でのASKAとの出会い、のりピー元夫・高相祐一が脱ドラッグの苦悩を告白』
(取材・文/羽柴重文 取材協力/石丸元章 撮影/関 純一)